「中国離れ」「ロシア接近」の代償 北朝鮮経済が直面する崩壊リスク
問題は、この物価上昇が短期的なものではないことである。北朝鮮は現在、前年の収穫時に得た食糧が底をつく端境期を迎え、麦の収穫が始まる初夏まで穀物の高値が続くとみられている。価格安定に寄与してきた輸入穀物も入荷が途絶え、燃料価格も急騰し、北朝鮮ウォンの下落も続いている。
こうした背景については、中国との関係悪化とロシアへの接近という外交的要因が作用したとする分析がある。(参考記事:【写真】「北朝鮮の不良弾薬が暴発し吹き飛ぶロシア兵」衝撃の瞬間)
北朝鮮は昨年6月、ロシアと「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結し、自国の兵力をウクライナ侵攻の最前線に派遣するなど、経済・軍事の両面で関係を強化した。またロシアとの間で自動車専用橋の建設が始まり、羅先(ラソン)の経済特区の開発もロシアの協力の下で進められている。
貿易98%は中国
「羅先は数十年にわたり中国が独占的に事業を行ってきた地域だが、ロシアが参入することで経済主導権争いが本格化している」と情報筋は述べた。これが中国の逆鱗に触れたということである。
