金正恩氏を悩ませる、実母が「大阪生まれ」という不都合な真実
「昨年から、各大学で“金正恩氏の革命史”を部分的に教えはじめている。小学校でも今年から教育が始まった」(両江道の情報筋)
「大学や軍事学校でも教材なしに金正恩氏の革命史が教えられている。中央から下された教育資料を元に教育が行われている」(咸鏡北道の情報筋)
ただし、「金正恩氏の革命史」は体系化されておらず、一貫した論理性もないと情報筋は指摘した。教育の中心は正恩氏個人の能力を強調する内容や、周囲の人物が彼を評価する回想録が中心とのことだ。
「金正恩氏の生年月日、故郷、出身成分などの出自に関しては、一切秘密だ。公式の教科書で明らかにするほど、彼の経歴が美化、体系化されていないからだ」(情報筋)
金父子の偶像化では、「母(オモニ)の伝説」に重点が置かれていたが、正恩氏の母は、大阪生まれの在日朝鮮人で、1960年代前半に北朝鮮に渡った高ヨンヒ氏だ。
資本主義の空気を知る在日朝鮮人帰国者は、北朝鮮の体制から潜在的な敵対分子とみなされ「出身成分」と呼ばれる社会階層の下位に置かれている。
ちなみに、出身成分の頂点に君臨するのはもちろん、金日成ー正日ー正恩と続いてきた「白頭の血統」だ。北朝鮮の偶像化教育は、この血統の絶対化が目的とも言える。
だからこそ、出身成分のよくない高ヨンヒ氏が母親であるというのは北朝鮮にとって「不都合な真実」であり、正恩氏の偶像化教育においてネックになっていると見られる。
