「外観だけ直そう」駆逐艦事故の現場、金正恩に虚偽報告

先月21日、北朝鮮の清津(チョンジン)造船所で発生した駆逐艦の進水失敗事故。新造した艦が横倒しになる様を目撃した金正恩総書記は激怒し、今月下旬に開催される朝鮮労働党中央委員会の総会までの復旧を命じた。

そして米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は3日、衛星写真の分析結果から、駆逐艦が直立の状態に戻されたと明らかにした。

しかし、作業は理不尽な指示を繰り返す正恩氏の介入によって混乱を極めていたと、デイリーNKの現地情報筋が伝えている。

党軍需工業部の幹部2人は、事故発生直後に、「転覆した艦を総会までに立て直すためには、ロシア製クレーンの導入が現実的かつ迅速な策だ」とする報告書を党中央委員会書記局に提出した。

「国の恥を重ねるな」

立て直しに600トン級以上のクレーン4基が必要だが、清津はロシアに近く海上貿易の実績もあることから、ロシア側が協力さえしてくれれば、クレーンの導入は難しくないととする内容だ。ところが、2人は5月25日に解任・撤職(罷免)された。報告書を目にした金正恩氏は激怒し、こう言い放ったという。