【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」

•植民地支配から解放後に国の機関、工場、企業所(協同組合を含む)、科学、教育、文化、医療、商業流通、利便性奉仕部門などで肉体労働を3年以上行う

•主要対象建設に連続して参加し、肉体労働を3年以上行う

•大学を卒業後、3大革命小組の人たちと共に事業を行う

階層

階層は、出身、仕事、思想を考慮して決められる。それは、基本群衆(核心階層)、複雑な群衆(動揺階層)、敵対階級残余分子(敵対階層)の3つだ。

基本群衆に含まれるのは、革命家、革命家家族、職業的革命家、栄誉軍人、栄誉戦死者、接見者、英雄、功労者、除隊軍人、戦死者家族、被殺者家族、社会主義愛国犠牲者家族など13の成分だ。

参考書によると、接見者とは「偉大なる首領金日成同士と敬愛する最高司令官金正日同志が直接お会いになり、高い政治的信任と配慮をされた人」または「お会いにならなかったが、直接英雄の称号の授与を推薦なされたり、(労働党に)入党させた人」と説明している。

複雑階層に含まれるのは、人民軍隊入隊忌避者、人民軍隊列脱出者、帰還軍、帰還市民、反動団体加担、日帝機関服務者、解放戦士、建設隊除隊者、義挙入北者、10支隊関係者、金剛学院関係者、政治犯教化出所者、宗教家、越南者家族、処断された者の家族、逮捕された者の家族、政治犯教化者の家族、捕虜になったが帰ってきていない者の家族、海外脱出者の家族、地主の家族、富農の家族、隷属資本家の家族、親日派の家族、親米派の家族、悪質宗教家の家族、宗派分子の家族、宗派連座者の家族、スパイの家族、農村の什長の家族、企業家の家族、商人の家族など31の成分だ。

金剛学院、10支隊の関係者とは、粛清された南朝鮮労働党(南労党)の関係者を指す。南労党系の朝鮮人民遊撃隊独立第10支隊隊長の孟鍾鎬(メン・ジョンホ)は、1953年に南労党委員長の朴憲永(パク・ホニョン)らと共に、米帝のスパイとして死刑判決を受け粛清されている。また、金剛学院(金剛政治学院)は、韓国に派遣する工作員、地下党組織幹部を養成する機関で、南労党の勢力基盤となっていた。つまり、北朝鮮では絶対的に存在が許されない、宗派(分派)と同じ扱いだ。

また、一度でも韓国で暮らした経験を持つ人も、この階層に組み込まれる。朝鮮戦争に韓国軍として参戦、捕虜になり朝鮮人民軍に入った解放戦士、朝鮮戦争で人民軍の捕虜になった人が入れられた建設隊の出身者、韓国軍の捕虜となり帰還した軍人や市民、自ら望んで韓国から北朝鮮に入国した義挙入北者などだ。

敵対階層に含まれるのは、地主、富農、隷属資本家、親日派、親米派、悪質宗教家、宗派分子、宗派連座者、スパイ、農村の什長、企業家、商人など12の成分だが、参考書にはこの階層の人はあまり残っていないと記述されている。

ちなみに、「朝鮮労働党員」という成分や階層に関しては記載がなく、「党員の成分は保安署ではなく党委員会が決定する」とだけ書かれている。

世襲される身分

成分と階層は基本的に親の影響を受ける特徴を持っている。父親の社会成分が、その子どもの出身成分として引き継がれるという仕組みだ。参考書によると、つぎのような場合に成分が変更される。