穀物から医薬品を製造する北朝鮮医師の離れ業

例えば、アヘンは止瀉剤として使われる。アヘンには下痢を止める効果があるとされ、江戸時代に岡山新田藩や弘前藩で製造され、珍重されていた薬「一粒金丹」の主成分だった。

薬物が治療薬として使われるようになったのは90年頃からだ。1980年代後半までは旧ソ連(ロシア)から医薬品が入荷していたが、ソ連の崩壊や90年代からはじまった経済難を要因として入ってこなくなる。90年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころは、国連からの援助物資で輸入された薬品を使用していたが、それ以外は手作りせざるを得ない状況だ。

例えば、1993年に水因性の伝染病が流行したが、治療薬が不足していたため、国連から支援物資として入ってきた抗生物質「レボフロキサシン」(クラビット)の錠剤を溶かして注射薬を作り、動脈注射を行っていた。

小麦粉を材料に

そして、抗生物質「オキシテトラサイクリン」(テラマイシン)に関しては、信じられない方法で手作りしていた。