都市インフラの安全対策がずさんな北朝鮮では、しばしば大規模な爆発事故が発生。多数の犠牲者が出ている。 国境の川・鴨緑江(アムロクカン)をはさみ中国の対岸に位置する北朝鮮の新義州(シニジュ)市では最近、大規模な列車火災があった。筆者は北朝鮮の列車火災と聞いて、2004年4月に龍川(リョンチョン)で起きた大爆発事故の記憶がよぎった。8000棟の建物が吹き飛び、1500人が死傷した悪夢のような大惨事である。 (参考記事:【写真と動画】大規模火災で黒煙が空高く立ち上る新義州) そして ...

北朝鮮の国営メディアは19日、金正恩党委員長が平壌総合病院の建設現場を視察し、現場の幹部らを厳しく叱責したことを報道。その様子を映像(下)も交えて生々しく伝えた。 金正恩氏が、自身の怒りを外部にさらけ出すのはこれが初めてではない。同氏は2016年、スッポン工場を視察した際に管理不備に激怒し、支配人を銃殺。怒りを爆発させる様子をテレビ放映させ、自らの残忍さを見せつけた。 (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導) 今回の建設現場の視察では、同プロジェクト ...

北朝鮮の護衛司令部は、金正恩党委員長やその家族の身辺警護、関連施設の警備を担当する超エリート部隊だ。それだけあって、身体能力が高いだけではなく、成分(身分)に一点の曇りすらあってはならない。選抜過程においては、最高で17親等まで調査するという徹底ぶりだ。 かつては北朝鮮の親にとって、自分の息子が護衛司令部に選抜されるとなれば、相当な名誉だった。息子の出世も、家族の安泰も保証されていた。そのため成分が良いだけでは選抜されず、審査過程ではワイロが飛び交うと言われていた。 もっとも ...

北朝鮮において、金(ゴールド)は朝鮮労働党の重要な資金源となっているため、一般人の所有、売買は禁止されている。違反した場合は政治犯扱いされかねず、重罪を免れない。ましてや輸出などもってのほかだ。 その禁を破って、大量の金塊を持ち出そうとしていた一団が摘発されたが、そこに中央の幹部が関わっていたようなのだ。 両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が説明した、事件のあらましは次のようなものだ。 場所は両江道の恵山(ヘサン)。国境を流れる鴨緑江を挟んで中国と向かい合い、以前 ...

中国遼寧省の丹東市は、鴨緑江越しに北朝鮮を眺められるとして内外から多くの観光客が訪れる。中でも人気を集めているのは、北朝鮮の目と鼻の先ま接近する遊覧船だ。国境は川の真ん中に引かれているのではなく、共同管理という位置づけなので、相手国に接岸しない限りは航行が自由なのだ。 遊覧船が人気なのは北朝鮮側も同じだ。ときには、乗客が鈴なりになっている遊覧船を見かけることもあったが、今では運航できなくなっている。北朝鮮は今年1月末から、国境を閉鎖し、防疫を停止すると同時に、船舶の出港を禁止 ...

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は28日、北朝鮮の拘禁施設で脱北に失敗した女性らに対する性的暴力の横行が続いていると告発する報告書を発表した。 北朝鮮の金正恩体制は、こうした人権問題で非難されることを最も嫌っている。金正恩党委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長は今月10日に発表した談話で「(米国が)朝米関係の改善に先だって『人権問題』が『解決』されるべきだと喧伝してわれわれの『人権実態』に言い掛かりをつけた」と述べ、露骨に不快感を示した。 今回、 ...

最近、北朝鮮と中国の間にただならぬ空気が流れている。とは言っても、両国の外交関係が悪化したわけではない。現場レベルでのイザコザが絶えないのだ。 今年5月末、北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)と、中国の吉林省長白朝鮮族自治県を流れる鴨緑江で、北朝鮮の国境警備隊が中国人密輸業者の50代男性を射殺する事件が起きている。 北朝鮮は、新型コロナウイルスの国内流入を恐れ、中国に対して自国民を国境地帯に近づけないように警告を発していたが、中国側は銃器使用については「絶対に反対する ...

現在、Netflixで配信中の韓流ドラマ「愛の不時着」。パラグライダーの事故で北朝鮮領土に落ちてしまった韓国の財閥令嬢ユン・セリと、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の生真面目な将校リ・ジョンヒョクが南北を股にかけて繰り広げるラブコメディだが、そこに描かれるリアルな北朝鮮の姿にも注目が集まる。 例えば、空腹を訴えるセリのためにジョンヒョクがトウモロコシ麺を作るシーン、村の人々が一堂に会して律動体操(北朝鮮版ラジオ体操)を踊るシーンなど、北朝鮮のプロパガンダメディアに登場することのない、飾 ...

北朝鮮の刑事訴訟法は6条で、国は刑事事件の処理過程で人権を徹底的に保証すると定めている。また166条では、強制的な方法で容疑を認めさせたり陳述を誘導したたりしてはならないとも定めている。 しかし、北朝鮮の保衛部(秘密警察)、安全署(警察署、旧称保安署)に人権尊重を求めるなど、夢物語も同然だ。取り締まりや捜査、取り調べの過程での暴言、暴行、拷問は当たり前で、女性に性行為を強要することすらある。 その暴力が、またひとりの女性を死に至らしめる事件が発生した。関係当局は責任のなすりつ ...

かつて国家の配給制度が機能していた時代、欠陥はあれども「貧しくとも生きていける、平等な社会」としての体裁を保っていた北朝鮮は、犯罪の少ない国だったとされる。 しかし、1990年代後半の未曾有の食糧危機「苦難の行軍」を境に、配給システムは実質的に崩壊。生きるために市場での商売に乗り出す人々がいる一方で、犯罪に走る者もいた。極度に悪化した治安対策として金正日総書記は「犯罪者はその場で処刑せよ」という荒っぽいやり方を指示した。 その後、一時は落ち着きを取り戻していた北朝鮮の経済が、 ...

今では「革命の首都」と呼ばれる北朝鮮の首都・平壌。かつては「東洋のエルサレム」と言われていた。朝鮮半島におけるキリスト教の中心地で、クリスチャンも多かったからだが、朝鮮戦争前後にその多くが現在の韓国に移住した。 そのような歴史的経緯もあり、韓国のキリスト教(プロテスタント)の中には、北朝鮮における布教を重要視する人々がいる。そして、その活動の実態が明るみに出た事例もある。 例を挙げると、中国・丹東でレストランを営んでいた韓国人のキム・ジョンウクさんは、2013年10月に北朝鮮 ...

北朝鮮当局は今年1月、新型コロナウイルスの国内への流入防止策として国境を封鎖し、貿易を停止すると共に、密輸の取り締まりも強化した。それに伴い、中国の密輸業者が国境で命を落とす事件が相次いでいる。 デイリーNKの情報筋は、北朝鮮の国境警備隊が今年5月末、密輸を行っていた中国人の業者を射殺したと伝えたが、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、その後も同様の事件が起きているようだ。 (参考記事:北朝鮮が国境で中国人を射殺…中国側部隊は完全武装で示威行動) 背景には、こ ...

北朝鮮の朝鮮労働党中央軍事委員会第7期第5回拡大会議が18日、金正恩党委員長の指導の下に開催され、軍内での思想・組織統制をいっそう強化する方向性が示された。北朝鮮の軍内では最近、こうした会議に対する反感が強まっているという。 これは金正恩氏の鶴の一声で、軍総政治局、総参謀部、人民武力省、保衛局(前保衛司令部)がいっせいに、傘下の部隊に多くの指示を与えるためだ。また、このような指示はそのまま末端兵士たちの課題となり、わずかな休息時間を奪っていくからである。 これと関連し、韓国デ ...

韓国デイリーNKは北朝鮮の現地情報筋を通じて軍の兵士たちが「シゴキ」を受ける場面の映像を入手し、22日付で公開した。 (【動画】炎天下の虐待「シゴキ」を受ける北朝鮮兵士たち) 撮影されたのは17日の午後で、場所は非公開。兵士らが炎天下、中隊の副業地で道具もなく草取りを行っている。副業地とは、部隊の食糧の足しにするために与えられた畑のことだ。飢えの蔓延する北朝鮮軍では、副業地の管理は重要な任務とされる。 この時期、北朝鮮軍は夏季訓練に突入に入っている。期間中、一般の兵士たちは夜 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は19日、金正恩党委員長が平壌総合病院の建設現場を視察し、現場の幹部らを厳しく叱責したことを伝えた。 3月に着工した同病院の建設は目下、金正恩氏が最も重視するプロジェクトである。 同通信によれば、金正恩氏は建設現場を見てまわり「困難な環境の中でも建設が非常に速いスピードで進捗した」として、まずは建設労働者の労をねぎらった。 しかし、同プロジェクトの推進に当たるタスクフォース 「建設連合常務」の幹部たちに対しては、「建設作戦を構想した意図とは背ちして設備 ...