高熱の患者をそのまま火葬…「新型コロナ」北朝鮮で疑念広がる

一方、非常防疫会議では、平壌市内の水道水の衛生状態についての案件も討議された。郊外の三石(サムソク)区域と龍城(リョンソン)区域の4つの地域で、水道から泥水が出る事態となっている。住民は、泥水を放置し、泥を沈殿させてから飲用している。

これについて会議では、水を飲用に使うには100度以上の沸騰を徹底させることと、上下水道事業所と防疫所の職員を動員し、5日間にわたって水道管の消毒とメンテナンスを行うことが指示された。

情報筋によると、地域の病院には患者が殺到し、いずれも腸チフスとの診断を受けているが、地域住民は「冬の水道水に(チフス)菌は住めない」として、別の病気を疑っている。ちなみに腸チフスは、冬でも発生し、日本では感染症法に基づき、医師が保健所への報告が義務付けられている感染症だ。

平壌近郊の、平安南道(ピョンアンナムド)の山間部やその南にある黄海北道(ファンヘブクト)の遂安(スアン)、新渓(シンゲ)、谷山(コクサン)は、極端に貧しく、これまでの歴史で一度も上水道の恩恵を受けたことがないほどだ。地域によっては、水汲みの往復8キロものの道のりを行き来することになる。しかも、確保できるのは汚染された水だけだ。平壌よりさらに衛生状態が悪いことは言うまでもない。