若い女医の死で幕を閉じた北朝鮮「恐怖病棟」での出来事
昨年6月10日ごろ、三池淵邑病院に勤務していたA医師は、救急科の当直勤務についていた。
病院にやってきて苦痛を訴えた患者BさんにA医師が処方したのは、なんと化学調味料を水で溶いたものだった。それでも症状が収まらなかったので、A医師が処方したのは、あろうことか農薬を水で溶いたものだったというのだ。日本でこんなことが起きたら、「恐怖病棟」での出来事として世論を騒然とさせることだろう。(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)
北朝鮮では医薬品が不足しており、病院で薬を使うには、患者やその家族が市場で購入したものを持参するか、医師が自作する。小麦粉を煎じて抗生物質を製造するなど、到底考えられないことが行われているが、A医師が処方した化学調味料や農薬は、医薬品がないこの病院で、民間療法として利用されていたものだ。
慣れている医師なら、おそらく経験則でどうにか薬として利用できる調合ができたのかもしれないが、A医師の専門は皮膚科で、それがうまくできなかったのだろうか。結局、患者を死なせてしまった。