北朝鮮、9ヶ月間で労働党幹部3人死亡のミステリー

そして、二人の死亡によって空席となった第1部部長に抜擢された朴正順氏が、任命からわずか4ヶ月で末期がんで死亡した。いずれも北朝鮮公式メディアの発表だが、謎が残る。

そもそも、末期がん患者の朴氏を組織指導部の第1部部長に就任させるほど、北朝鮮に余裕はないはずだ。そして、李済鋼氏は張成沢(チャン・ソンテク)労働党行政府長と権力を争っていた政敵だった。

李済鋼の死亡時刻(明け方0時45分)からすると、夜間の交通事故と思われる。確かに、北朝鮮の幹部たちは、金正日氏が主催する秘密パーティーに参加した後に、泥酔状態で運転し事故に遭うケースはある。とはいえ、閑静な平壌の夜道で運転手付きの車が事故を起こした点から、何かしらの裏があってもおかしくはない。

朴正順氏は、張成沢派と知られている。しかし、2004年に張成沢が組織指導部を追い出された後にも、党幹部部長、組織指導部で職務についていることから、100%の張成沢派と断言できない。

多くの謎が残るが、朴正順氏の抜擢は、元老幹部を優遇する狙いであり、公式メディアの発表通り、病死の可能性が高いという見方もある。