「韓国は腹立ちまぎれに自害した」米国から見たGSOMIA問題の本質
韓国の聯合ニュースによれば、青瓦台(大統領府)のコ・ミンジョン報道官は15日に出演したラジオ番組で、失効期限が迫る韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について「日本の態度に変化がない限り韓国政府もGSOMIA終了の決定を覆すのは難しい」との立場を明らかにしたという。
韓国の文在寅政権は、日本が韓国への輸出規制強化措置を取ったことへの報復として、GSOMIAの終了――つまりは破棄を決定した。ところが、北朝鮮だけでなく中国やロシアへの対抗上、日韓にも増してGSOMIAを重要視する米国が猛反発。米韓同盟を揺るがす事態に発展しており、韓国国内では終了決定の撤回を求める声が多く上がっている。
しかしコ報道官は、「韓日関係に何の変化もない状況の中で、われわれが後先を考えずにGSOMIA終了を覆すことになれば、終了決定が慎重でなかったという話になる」として、終了決定の撤回はあくまで日本の態度変化が前提だと強調したという。
しかし現状を踏まえれば、この説明自体が、韓国の国益に反していることは誰にでもわかる。
終了決定を撤回すれば、文在寅政権は強い批判を浴びるだろう。だが少なくとも当面は、米韓同盟の動揺はやわらぐ。つまり、文在寅政権の利害と韓国の国益は矛盾しており、政権は国益よりも自分たちの政治的利益を優先しているということなのだ。
そもそも、米国は文在寅政権による終了決定前から、韓国にGSOMIA延長を求め続けていた。
(参考記事:「何故あんなことを言うのか」文在寅発言に米高官が不快感)それにもかかわらず終了を決定したのは、GSOMIAを人質に取って米国に日本を説得させるしか、輸出規制強化から逃れる術を思いつかなかったからだろう。その挙句の強行突破が裏目に出ているわけだから、コ報道官が危惧するとおり、文在寅政権の「終了決定が慎重でなかった」わけなのだ。
こうして生まれた状況についてワシントンDCのシンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)のデビッド・マクスウェル主任研究員は韓国紙・中央日報とのインタビューで「GSOMIA中断の決定は(韓国が)腹立ちまぎれに自害した格好(Cutting off the nose to spite the face)だ」と語っている。なかなか絶妙な表現だが、事態はさらに悪くなっている。韓国は今や、文在寅政権と「心中」させられる瀬戸際だ。
(参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く)
朝鮮日報によれば、米国政府関係者は「韓国が我々の立場を受け入れていないなら、『パーフェクト・ストーム(最悪の状況)』に見舞われるかもしれない」とまで言って、GSOMIA延長を求めているという。しかし文在寅氏は、このまま「腹立ちまぎれに自害」してしまう可能性が非常に高い。果たしてその後、どんな事態が巻き起こるのだろうか。