国際人権団体も指摘する、文在寅政権「拷問禁止条約」違反の疑い

北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)のマイケル・カービー元委員長は14日までに、韓国政府が北朝鮮の漁船員2人を北に強制送還したことについて、「憲法的、法律的、行政的な制限があるはずだ」との見解を、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して述べた。

韓国政府は7日、亡命意思を示していた北朝鮮の20代男性2人を、漁船上で同僚16人を殺害した疑いがあるとの理由で板門店(パンムンジョム)から追放し、北朝鮮側に引き渡した。しかし、殺害の容疑は客観的な捜査で立証されたものではない。

様々な拷問

また、北朝鮮を正当な国家と見なさず、すべての北朝鮮国民を自国民として扱う韓国の憲法解釈によれば、刑事事件の犯人であろうがなかろうが、韓国政府は本人の意思に反して脱北者を北に送り返すことはできない。

そのため今回の強制送還については、韓国国内の人権団体のみならず、国際社会からも批判の声が上がっている。

国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は12日付の報道資料で、今回の韓国政府の措置が、国連拷問禁止条約に違反すると指摘した。報道資料は「北朝鮮の司法体系は極度に残忍で、(船員2人が)拷問される可能性があるのに彼らを北朝鮮に送り返したことは国際法上違法」としながら「韓国は2人に対する容疑を徹底的に調査して、彼らが北送されることに十分に異議を提起する機会を与えるべきだった」と指摘している。

国連拷問禁止条約は第3条において、「締約国は、いずれの者をも、その者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国へ追放し、送還し又は引き渡してはならない」と定めている。

北朝鮮国内で、様々な形の拷問が横行しているのは国際社会で広く認識された事実であり、今回の措置は明らかに同条約に違反している。

(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態

国連総会第3委員会(人権)は14日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議案を議場の総意により無投票で採択した。同趣旨の決議採択は15年連続だ。12月に総会本会議で採択される見通しだが、それまでの議論において、今回の強制送還についても批判的に言及されるべきではないだろうか。