治安悪化の北朝鮮、警察幹部も「ドロボー」に沈黙

「分駐所長なら外貨も相当な額を持っているはずだ。所長は被害があっても誰にも言えず、一人で気を揉んでいることだろう」(情報筋)

一般的な保安員(警察官)の月給は3000北朝鮮ウォン(約39円)。平均的な4人家族の1ヶ月の生活費が50万北朝鮮ウォン(約6500円)であることを考えると、月給だけでは生きていけないが、優先的に食糧が配給されていたため、それなりに暮らせていた。

ところが、配給が正常に行われなくなってしまった。生きていくためには、権限を振りかざして村人からワイロを巻き上げるしかない。そうした行為が度を越して、住民から恨みを買っている保安員も少なくない。

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分駐所長も、そうして相当の額の外貨を貯め込んでいたようだが、カネのあることを上部に知られると制裁を受ける可能性があり、被害を訴えでるわけにもいかないのだ。

保安署では捜査に乗り出し、地域の事情に詳しくない者の可能性が高いと見ているが、犯人の目星すらついていない。