米大学生の「歯がズレて拷問死」が金正恩氏を苦しめ続ける

トランプ氏はハノイでの米朝首脳会談でこの問題に言及。すると金正恩党委員長が「この件を非常によく知っているが、後になって知ったのだ」と語ったと記者会見で明かし、「私はその言葉をそのまま受け入れる」と述べていた。これに、米国の世論が反発。さらにはワームビアさんの両親が非難の声を上げたのだ。

これもまた当然の反応である。日本の場合で言うなら、北朝鮮から拉致被害者の医療費を請求されるようなものだ。

この問題は、簡単には終わらない。北朝鮮が本当に拷問を加えたかどうかについては、慎重な見方もある。だが、北朝鮮政府はワームビアさんの両親が起こした損害賠償請求訴訟で、何の対応も取らなかった。そのため過去のいくつかの拷問の前例が重視され、上記のような判決が下ってしまったのだ。

(参考記事:「北朝鮮で自殺誘導目的の性拷問を受けた」米人権運動家

また、北朝鮮当局が自国民に対して拷問を加えているのは国際的に知られた事実であり、米国の裁判所がその情報を重視しないはずもなかった。

(参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている