「死人を処刑」して生きている人を救う北朝鮮の独特な人命尊重

人民武力省の指示でやってきた軍検察所の検事は、文書を探り、関係者を次から次へと呼び出して取り調べを行った。しかし、工場関係者の「検収を受けて軍のハンコをもらった」、軍需倉庫関係者の「弾薬庫の管理に何ら落ち度はなかった」という主張が対立、これといった証拠もなかったようで、結論にたどり着けなかった。

困り果てた検察は、こんな妙案を思いついた。それは「死んだ人にもう一度死んでもらう」というものだ。

3年前に工場で検査を行ったのは、軍需産業を司る国の機関、第2経済委員会の係官だが、既に故人だが、検察はこの人物に責任があるとの結論を下した。「死人に口なし」だからちょうど都合がいいということだろう。

それで一件落着となるとの大方の見方とは異なり、人民軍の銃弾の管理をいい加減に管理していた責任を問うという名分で、この責任者に対して「剖棺斬屍」を行い、改めて銃殺刑にせよとの指示が下された。