「羽振りのいい写真技師」は韓流ドラマの密売屋だった
北朝鮮の写真館で働く写真技師と従業員が、保衛部(秘密警察)に逮捕された。容疑は、韓流ドラマや映画を密売したというものだ。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、事件が起きたのは清津(チョンジン)市の羅南(ラナム)区域にある羅南写真館だ。
(参考記事:北朝鮮の少年少女が恐れる「少年院送り」…それでも止められない遊びとは)北朝鮮で写真館は斜陽産業だ。携帯電話の普及が爆発的に進んでいるからだ。人口2500万人の北朝鮮での携帯電話の普及台数は、500万台(大韓貿易投資振興公社<KOTRA>の今年9月の資料)とも、600万台(IBK経済研究所のチョ・ボンヒョン副所長)とも言われている。
客の減少で写真館は火の車のはずなのに、勤務する写真技師と従業員は妙に羽振りがいい。それを不審に思った別の従業員が保衛部に密告し、今月初めに家宅捜索が行われた。
その結果、店内から韓国、香港、米国のドラマや映画のDVDが大量に発見され、2人は逮捕され、外国の映像をUSBメモリなどにコピーしたり、レンタルしたりして荒稼ぎしていたことが判明した。
おそらく2人は取り調べの過程でひどい拷問を受けたのだろう。顧客の情報を全部話してしまったがために、大学生、労働者、兵役を終えたばかりの青年まで芋づる式に逮捕されてしまった。
(参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為)「多くの人がわけもわからないままに保衛部に連行され、映画のせいだということを知り当惑している。どんな処罰を受けるかわからず不安に震えている」(情報筋)
近隣住民は、10年に渡る兵役で苦労を重ねた青年が、映画を見たという理由だけで逮捕されたことについて怒りをあらわにしつつ、写真館の2人については「見せしめとして重罰に処されるだろう」と見ている。
北朝鮮当局は、南北和解ムードがもたらす社会の緩みに対して非常に厳しい姿勢を取っている。その最たる標的となっているのが韓流だ。以前ならワイロでもみ消すこともできたが、最近ではそれも効かず、中学生や幹部の子弟なども逮捕されるなど、逮捕者が続出している。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)