死亡の米大生「歯がズレた」原因は北朝鮮の拷問…裁判所が認定

ハウェル判事はさらに、ワームビアさんの足に大きなケガがある点と、前述した歯の位置の変化についても、拷問が加えられた事実を示すものと認めたという。

一方、北朝鮮政府はワームビアさんの死因はボツリヌス中毒症、および睡眠薬の摂取であるとし、拷問の疑いは否定している。ただ、同政府は米国での民事訴訟で、正式に抗弁する手続きを取らなかった。このことは今後の米朝対話に、大きな禍根を残してしまった可能性がある。(参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている

VOAによれば、米国にはテロ支援国を民事訴訟の相手とすることを可能にする「外国主権免除法(FSIA)」という法律がある。ワームビアさんが拘束されてから死亡するまでの期間、北朝鮮はテロ支援国の指定から外れていた。しかしハウェル判事は意見書で、ワームビアさんの事件が北朝鮮のテロ支援国再指定につながった事実に言及し、同法により今回の訴訟が成立したことを明らかにしているという。

さらに米国には、テロ支援国から被害を受けた国民に対し、政府が「米テロ支援国被害基金」を通じて賠償金を支払う仕組みがあるという。