兵役逃れや売春が横行…北朝鮮軍の「弱体化」が止まらない
準軍事組織である労農赤衛軍では、女性部隊が組織的に売春を行っていたことが発覚し、若い女性から年配男性に総入れ替えになる出来事があった。
(参考記事:北朝鮮「組織売春」事件で民兵組織を再編…若い女性から年配男性に総入れ替え)
それも食べていくためには仕方なかったのかもしれないが、苦しさに耐えて真面目に兵役を務めあげようとしても、邪(よこしま)な男性上官の性的暴力の被害に遭ってしまう。
(参考記事:脱北女性、北朝鮮軍隊内の性的暴力を暴露「人権侵害と気づかない」)こんな軍隊に、親たちが子供を送ろうと思うはずがないのだ。
冒頭の贈収賄の事例からは、軍隊に行った後に便宜を図るのではなく、軍隊自体に行かせないという風潮が強まっている点を読み取ることができる。
いみじくも同じ5月、36年ぶりに開催された朝鮮労働党第六次党大会における事業報告の演説で、金正恩党委員長は先軍政治を「勝利の宝剣」と称し、父・金正日と祖父・金日成からの伝統と位置付けた。軍隊の実情からかけ離れた評価と言わざるを得ないだろう。
収賄の罪で免職された軍人も謹厳で知られた人物で、生活苦に耐え切れず今回、はじめて賄賂に手を染めたというから皮肉なものだ。彼もまた体制の被害者なのである。