「韓国に来ても二重の苦しみ」脱北者でゲイの小説家、半生を語る
「結婚初夜、目の前にいる妻を見ても、同性の友達のことが思い出され、何もできなかった。それがどんな感情かはわからなかった。ただただ生きていた。いつかよくなるだろうと思って。しかし、結婚してから9年経っても、妻への感情には変化が起きなかった。依然として落ち着かず、申し訳なかった。妻のためだと思って離婚訴訟を起こしたが、受け入れられなかった」
そんな状況に耐えかねて、彼は1996年に中国に脱北した。
韓国に行く手だてを求め、方々を駆けずり回ったが埒が明かず、一度北朝鮮に戻り、地雷だらけの軍事境界線を越えて韓国に亡命したのだ。
韓国にたどり着いたものの、取り調べではなぜ脱北したかの本当の理由については明かすことができなかったという。同性愛の本に接してようやく自分が同性愛者であることに気付いた。
尊厳を踏みにじられ
しかし、韓国での暮らしも順調とはいえなかった。