「韓国に来ても二重の苦しみ」脱北者でゲイの小説家、半生を語る

チャン・ヨンジンさんが生まれ育ったのは、北朝鮮東海岸の清津(チョンジン)だ。彼はソンチョルという名の男子の友人に恋心を抱いていた。

二人の友情は平壌に引っ越してからも続いた。地下鉄が混んでいるときはソンチョルの膝の上に乗っかった。そんなときソンチョルは、彼を後ろから抱きしめた。

他の国だったらゲイカップルに思われただろうが、周りの人々は仲の良い幼なじみぐらいに思っていたことだろう。

そんな二人が引き裂かれたのは17歳の時に、チャンさんが軍隊に入隊してからだ。彼は結核にかかり、1982年に除隊。清津に戻り、港の無線局で働いていた。

男同士、同じ布団で…

1987年に彼は、数学教師と見合い結婚した。しかし、夜の営みを試みようにも、ソンチョルのことが思い出され、妻に指一本触れることすらできなかった。