「下剤を飲ませ水を一滴も与えない拷問」で政敵抹殺…北朝鮮の権力闘争
さらに1990年代の大粛清「深化組事件」では、やはり張成沢氏の政敵だった文聖述(ムン・ソンスル)中央党本部党書記も抹殺された。文聖述氏は下剤を飲まされた上で3日間、水を一滴も与えられない拷問を受けた末に、留置場の壁に頭を打ち付けて自殺したと言われる。
(参考記事:血の粛清「深化組事件」の真実を語る)このように張成沢氏によって倒された政敵たちと、張成沢氏の最期には明らかな違いがある。粛清された幹部らは闇から闇へ葬られただけで、その「罪」が公開の場で非難されたことはない。張成沢氏のように、党の会議で断罪され、その罪状を党機関紙が長々と書き連ねた例はほかにないのだ。
この違いはどこから来たのか。それはまさしく、張成沢氏が最高指導者である金正恩氏の「政敵」と見なされたことを意味するのだ。(つづく)
張成沢粛清を振り返る(8)金正恩の「肥満」と「処刑」が同時期に始まった必然