朝鮮民主主義人民共和国における人権に関する国連調査委員会の報告(本文)

89 調査委員会は、北朝鮮に対し以下を勧告する。

(a) 最高指導者と朝鮮労働党の権力の上に、真のチェック・アンド・バランスを導入するため、抜本的な政治改革と制度改革を遅滞なく実施すること。こうした変化には、独立した公正な司法、多党政治システム、真に自由で公正な選挙から選出された、地方、中央レベルの選出者から成る議会が含まれるべきである。人権侵害に関わる将校団をすべて査察し、朝鮮人民軍の任務を外患からの国の防衛に制限することにより、治安部門を改革すること。国家安全保衛部を解体し、透明で民主的な監視の下に社会安全省を設置すること。このプロセスを推進するため、北朝鮮社会で人望を得ているメンバーによる憲法・制度改革に関する独立委員会を編成し、国外から適当な専門家の支援を受けるべきである。

(b) 本報告書の中で調査委員会が記載している政治犯収容所も含めた、人権侵害の存在を認めること。国際的な人道支援団体や人権監視団体に対し、収容所への即時立入と生存する収容者への面会を許可すること。政治犯収容所を完全解体し、政治犯を全員釈放すること。また、追跡困難な失踪者の安否に関し、本格的解明を行うこと。

(c) 刑法及び刑事訴訟法を改正し、定義が曖昧な「反国家」罪、「反人民」罪を廃止し、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」に明記された公正な裁判を受ける権利と適正手続の保障を十分に権利として認めること。尋問の手段として、拷問、その他の非人道的手段を講じることを禁じ、これを違法とする刑法及び刑事訴訟法の既存条項を履行すること。自由を奪われたすべての被収容者に対し、拘留の人道的条件が確保されるよう、一般的な刑務所制度を改革すること。連座制による報復を廃止すること。有罪判決を受けた犯罪者の家族を強制移住させる慣行を即時撤廃すること。