強盗を裁判抜きで銃殺する金正日流の治安対策
一部始終を見守っていた私は、震えが止まらなかった。法に基づいた取り調べも裁判もなく、その場で銃殺するなんて、北朝鮮以外の国ではないだろう。
法治主義が崩壊した北朝鮮
金正日は、食糧難で混乱に陥った北朝鮮を、このような方法で抑えつけ独裁政権を守ったのだ。各道に「今年は何人処刑せよ」とノルマを割り当てるほどだった。そのせいで、トウモロコシを1袋盗んだという理由で、その場で処刑される人が続出した。
(参考記事:平壌で昨年12月末に住民4人が公開処刑される)犠牲になったのは貧しい庶民だけではない。徐寛熙(ソ・グァンヒ)中央党農業書記は、金正日から食糧難の責任をなすりつけられ、「米国のスパイ」と濡れ衣を着せされ処刑された。
(参考記事:血の粛清「深化組事件」の真実を語る)著者:キム・ミンセ 平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)出身 脱北後、2005年に韓国に入国