強盗を裁判抜きで銃殺する金正日流の治安対策
銅の商売で恵山に来ていた私は、家に帰るために恵山駅から平壌行きの列車に乗った。慢性的な電力不足で数日間立ち往生していた列車は、鈴なりの乗客で足の踏み場もないほどだった。
いつ出発するかわからない列車の中で、立ったまま居眠りしていたときのことだった。急に「助けて!」という女性の悲鳴が聞こえた。悲鳴は徐々に大きくなり「どうか一度だけ見逃してください」という哀願に変わった。どうやら男2人に囲まれ、何かされているようだった。女性は周りにいた人びとに狂ったように助けを求めた。しばらくして突然、「バン!」という音とともに、女性のそばで取っ組み合いのケンカが始まった。
ピストルを持った青年に制圧された強盗
3分ほど経って、女性とともに2人の男性がやってきた。