昨日の処刑人が、今日は罪人に…北朝鮮の権力中枢「一寸先は闇」
2012年3月、金正恩氏は国際婦女節を記念して行われた音楽公演「女性は花だね」を観覧した。公演では、サプライズ演出として元女性歌手の玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏が観客席から舞台に上がり美声を披露した。そしてこの公演では、金氏もまた、周囲から促されて妻とともに歌を披露している。
2013年8月、日本と韓国のメディアは、玄氏が公開処刑されたと報じた。玄氏ら北朝鮮の有名芸術団のメンバー9人がポルノ動画を撮影し、金正恩氏の夫人・李雪主(リ・ソルチュ)氏を中傷したからだとされた。
(参考記事:美貌の女性らが主導…北朝鮮芸術家「ポルノ撮影」事件の真相)後に、玄氏は健在であることが確認されたが、彼女が事件から近い位置にいたことは確かだろう。そして、芸術団員らに対する捜査を行い、むごたらしい公開処刑を実行したのが金氏の率いる国家保衛省だった。
あれから時が流れ、玄氏は今年10月に行われた党の総会で、異例の抜擢を受け高位幹部となった。金氏の現状と比べると、まさに天国と地獄である。北朝鮮の権力中枢は、まさに「一寸先は闇」なのだ。