自分の兄まで「公開処刑」…正恩氏が「その瞬間」を見たかった理由

韓国入りした脱北者は3万人以上といわれているが、脱北者団体は乱立状態であり、まったくの一枚岩ではない。また、金正男氏がかつては良好な関係を築き、金正恩氏に次ぐ権力をもっていたと言われる張成沢(チャン・ソンテク)氏は2013年に処刑されている。彼以外にも多くの幹部が処刑された。

(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

金正男氏が今の北朝鮮国内に政治的に大きな影響力を及ぼすということはありえない。なによりも、彼自身が3代世襲に疑問を呈す発言をしており、その人物が旗振り役になれば大義名分でさえ疑われかねない。米韓や周辺国が仮に金正男氏の亡命を受け入れることはあっても、亡命政権の樹立となると対北朝鮮政策という点では極めて厄介なお荷物を抱えることになるだろう。