ジュエの陰で浮かんでは消える金正恩の「青白く痩せた息子」
第一に、経済政策の失敗である。
金正恩政権の近年の経済運営の特徴は、重工業や大型インフラよりも、軽工業を重視する点にある。象徴的なのが、地方振興を掲げた「20×10政策」だ。工場建設や生活必需品の増産によって、立ち遅れた地域の不満を和らげようという試みである。
しかし、この戦略は構造的な限界を抱えている。製品の主な売り先は、約2500万人の貧しい国内市場に限られ、外貨を稼ぐ輸出産業にはつながらない。韓国や台湾、中国沿海部などが海外資本と技術を呼び込み、世界市場に輸出して成長した道筋とは正反対である。作っても売れず、売れないから投資も増産もできないという悪循環に陥り、体制の経済的正統性を支える基盤にはなり得ない。
父娘の葛藤
第二に、国民の離反を止められない現実だ。
北朝鮮は、居住地の移動や転居が極端に制限された社会である。農村出身者は農村に、炭鉱町の住民は炭鉱に縛り付けられるのが原則だ。