飢える一般国民をしり目に…金正恩「赤い貴族」の醜悪な内紛

李乙雪氏が生前に受け取った数々の勲章や1号贈り物(最高指導者から受け取った贈り物)は、2015年の逝去後に、宗孫(家督を受け継いだ者)が相続した。

ただ、宗孫は長男がなるはずだが、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に出演した脱北者のキム・ジュウォンさんは、李乙雪氏に息子はおらず、娘が4人いると述べており、この宗孫と李乙雪氏の関係性は不明だ。ちなみに、韓国統一省のデータベースによると、李乙雪氏の三女の夫は、外務次官を務めた朴明国(パク・ミョングク)氏だ。

宗孫が受け継いだ1号贈り物の中には、「金正日」と名前が刻まれた「尊銜(お名前)時計」があったが、これが忽然と姿を消した。最高指導者の肖像画を守るために命を投げ出したことが美談とされるお国柄で、逆に最高指導者の名前の入ったものが紛失することは、極めて重大な政治事件。大騒ぎになったことは言うまでもない。

(参考記事:命より大切な「肖像画」大量紛失に揺れる北朝鮮の地方都市

いとこが家を訪れた後で、時計がなくなったことから、このいとこに疑いがかけられたが、取り調べにも知らぬ存ぜぬと繰り返すばかり。事件は結局、国家保衛省が捜査することになった。