「ヤクザが党幹部を襲撃、殺害」金正恩が国内に厳重警戒を指示
この幹部はまた、「指示文は過去数カ月の間に全国で発生した数十件の凶悪犯罪を分析した結果、大部分が犯罪前科者、無職ヤクザ者によって起こされたものだったことを明らかにした」とし、「一部の前科者とヤクザ者が良からぬ考えから党幹部や行政幹部、安全・保衛要員を襲撃して殺人行為に至った事例も通知された」と明らかにした。
1980年代以前の北朝鮮は、非常に犯罪の少ない国だったと言われている。配給システムが機能し、住宅から食料品に至るまでほとんどのものを国が無料、または安価に配給し、「貧しくとも生きていける皆が平等」な国だったからだ。もちろん、特権層は存在したのだが。
ところが、1990年代後半の未曾有の食糧危機「苦難の行軍」を前後して配給システムが崩壊し、餓死者が続出した。生きるために市場で商売する者もいれば、犯罪に走る者もいた。極度に悪化した治安対策として金正日総書記は「犯罪者はその場で処刑せよ」という荒っぽいやり方を指示した。(参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた)
その後、食糧事情が落ち着くに従い治安も改善したと見られていたが、長引く経済制裁とコロナ鎖国による経済難の深刻化により、今また犯罪の多発が見られているもようだ。
【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男
「北朝鮮にも腕っぷしが強くて徒党を組む愚連隊のような連中をはじめ、裏社会の人間はいる。実際、俺自身が裏社会の人を通じて北朝鮮を脱出できたわけだからね。ただ、日本のヤクザみたいに巨大で組織的じゃないね」
そう語るのは60代半ばの脱北者、崔勇男(チェ・ヨンナム)さん。1970年代に大阪から北朝鮮へ帰国した崔さんは、かの国の現実に絶望し、2008年に脱出。命がけの逃避行の末に、生まれ故郷の日本に生還した。