「ジャガイモ食べ続けてオナラ連発」 北朝鮮農村の切ない笑い話と飢餓の現実
北朝鮮の農村では、ジャガイモの収穫が本格的に始まった。飢餓の不安が和らいだ一方で、単調な食事への不満もくすぶっている。平安南道のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
道内の農村部では、農民たちは空腹をしのげるようになったことに安堵する一方で、「またジャガイモか」とこぼす声も少なくない。
(参考記事:北朝鮮国民も泣き崩れた「最貧母娘」の悲惨な生活実態)
情報筋は、「それもそのはずで、ジャガイモご飯にジャガイモスープ、ジャガイモのおかずまで、1日3食ジャガイモづくしという日も多い。子どもたちはもちろん、ジャガイモに飽きて食べたがらないし、大人も同じだが、それでも満腹になれるだけマシだと、文句を言いながらも黙って食べている」と話した。
また、「家の食事もジャガイモだが、最近では草取り作業の合間に出される間食まで蒸したジャガイモがほとんどで、農村の住民たちは『ジャガイモばかり食べていたらオナラがよく出る』と冗談を言い合いながら、不満を口にしている。それでも飢えていたころを思えば、これでもありがたいことだと、互いを慰め合っている」と語った。
小麦と大麦の収穫はすでに終わっており、現在はそれらが加工工場へ送られたり、農場で直接分配されたりする。平安南道粛川郡検山里では、1人あたり約20キロの小麦と大麦が配給されたという。
受け取った人々はジャガイモと混ぜて食べているが、このような食事はトウモロコシの収穫まで続く。
(参考記事:「死ぬやつは死ね。という政策なのだ」北朝鮮の食糧難が末期症状)情報筋は「季節ごとに変わる作物に頼って、なんとか日々をしのぐ生活は、今も昔も変わらない」と述べた。
北朝鮮では1990年代末の大飢饉「苦難の行軍」の頃に、故金正日総書記が「ジャガイモ革命」を提唱し、山を切り開いて協同農場を作り、ジャガイモ栽培に注力した経緯がある。
食糧難の北朝鮮で、ジャガイモが豊作ならば喜ばしいことだ。しかし、冷蔵倉庫がが足りないため、腐らないように保管するのは面倒な作業だ。こうしたことから、その年の収穫はなるべく消費し、余ったジャガイモは片栗粉にされている。