「給料は20倍になったけれど…」急激な通貨安に動揺する北朝鮮

「今の状況は、2002年位労働者や事務員の給料を上げたときを彷彿させる。賃上げに伴い、1ドル200北朝鮮ウォンほどだったのが、1000北朝鮮ウォンに上がり、1キロ45北朝鮮ウォンだったコメ価格も、ほぼ10倍になった。」(情報筋)

羅先(ラソン)市の情報筋によると、当局も極端なウォン安に敏感に反応している。インフレにつながるためだ。

工場の朝礼や人民班(町内会)の会議では、「外貨を両替する際には必ず国営銀行や外貨取引所を使え」「国営銀行を使うのが商品価格と安定と国の経済発展のための愛国的行動」などといったことが繰り返し伝えられている。また、ヤミ両替を利用した場合には外貨も北朝鮮ウォンも全額没収するとの警告も伝えられている。

朝鮮労働党や市人民委員会(市役所)、安全部(警察署)の幹部も、繰り返し「国営銀行や両替所を使え」と繰り返しており、人民班にはヤミ両替を取り締まるための安全員(警察官)まで派遣された。

また、有線ラジオの第3放送では、耳にタコができるほど「国営銀行を利用せよ」と伝えており、法律に違反した人の名前、住所、勤め先での肩書を読み上げている。

しかしまったく効果がなく、人々は相変わらずヤミ両替商を利用している。これはこんな理由からだ。