北朝鮮を巡る新たな課題…「中国生まれ」の脱北者の子どもたち

中国で、人身売買の犠牲となる北朝鮮女性が後を絶たない。オランダの国際法律事務所「グローバル・ライツ・コンプライアンス」の今年4月の報告書によると、中朝国境沿いにいる脱北女性は数十万人に達し、その7〜8割が人身売買の被害者であるとした。

望まぬ性産業に従事させられる人がいる一方で、中国人男性に買われ、強制結婚させられる人もいる。
(参考記事:中国奥地で売られた「少女A」の前に現れた救世主

両者の間に生まれた子どもは、黒孩子(無戸籍の子ども)となり、教育や福祉を受けられないケースもあれば、脱北女性が韓国に逃げる際に連れてこられる場合もある。しかし中国人男性との間に生まれたため、あるいは戸籍がないため、韓国でも「存在しない扱い」にされることがある。
(参考記事:17歳で中国人男性に売られ…脱北女性「まだまだ幼い被害者が大勢いる」

29日にソウルで開催されたセミナーで、このような子どもたちの問題が取り上げられた。

韓国の通信社、聯合ニュースによると、「韓半島の人権と統一のための弁護士の会」のイ・ジェウォン会長は同セミナーで、その数や実態についての本格的な調査が行われなければならないとして、現状では「住民登録もなく存在証明も難しい『透明人間』として生きている」と説明した。

そして、彼らが韓国入国後に、社会にうまく適応できるように、北朝鮮で生まれた青少年と同様に、法的保護と社会的配慮が受けられるように(制度を)補完すべきだと述べた。

中国生まれの子どもたちは、韓国国籍を取得しても、現行法に基づき、中国国籍の朝鮮族と同じ扱いとされ、様々な脱北者関連の支援から疎外される。

例えば教育面での支援を見ると、脱北者の子どもに対しては社会適応・学習能力向上のためのカウンセリング、大学入試での優遇、国公立大学の学費免除などがあるが、中国など第三国生まれの子どもの場合、そのいずれも適用されない。

北韓人権市民連合のキム・ドクス副局長は、2015年から韓国国内の学校で、脱北者よりも第三国で生まれた児童・生徒が多くなったと明らかにした。彼らの多くがアイデンティティや言葉の問題で困難に直面することが多いため、法的保護を強化する必要があると述べた。

なお、北朝鮮から脱北し韓国に渡った脱北者で、コチェビ(ストリート・チルドレン)出身でもある与党・国民の力の池成浩(チ・ソンホ)議員は昨年12月、第三国生まれを含めたすべての脱北者の子どもに教育支援を行う内容を含む、北韓離脱住民法改正案を発議している。
(参考記事:「コチェビから韓国の国会議員に」北朝鮮から驚きの声