「生きるために家を捨て、山の中で狩りをする」北朝鮮の飢餓が深刻

北朝鮮の内陸部では、氷点下20度を下回る厳しい寒さが続いている。国営の朝鮮中央テレビの12月末の天気予報では、白頭山密営の最低気温が氷点下27度、恵山(ヘサン)が氷点下20度、江界(カンゲ)が氷点下20度まで下がると伝えている。それ以外の地方でも、海流の影響で緯度の割には温暖な東海岸を除けば、氷点下10度以下となっている。

そんな中、餓死者と凍死者、行方不明者が続出している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、現地の気温が毎日氷点下20度まで下がり、鉄道駅の前で、ボロ布をまとった男の子が死んでいるのを見かけたと述べた。このようなコチェビ(ストリート・チルドレン、ホームレス)は、駅前や市場など人の多いところで固まって暮らし寒さをしのいでいるが、あまりの寒さに亡くなる者が続出しているという。

安全部(警察署)は市民に、「社会主義のイメージを乱すコチェビがいたら通報し、救護所に送れ」と指示を下した。
(参考記事:北朝鮮で「老人コチェビ」が増加…生活苦で行くあてもなく

深刻な食糧難で、コチェビにならなくとも絶糧世帯(食べ物が底をついた世帯)に陥る人が少なくない中、「社会主義のイメージ」などを気にする当局に対して市民から批判の声が上がっている。

「コチェビをいなくするには、彼らが食べていけるようにするのがまずではないか」
「1日に一食も口にできすに餓死の危機に瀕した人々がいるのに、社会主義のイメージに何の意味があるのか」(市民)

コチェビを救護所に送っても、部屋が寒く、食べるものがないため、結局は脱走してしまうのだという。そんなところにいたら餓死するか凍死するかのどちらかだ。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

一方、北朝鮮の中でも相対的に暖かい方に属する黄海北道(ファンヘブクト)では、行方をくらます人が増えていると、現地の司法機関の幹部が伝えた。

その対策として安全部がやっているのは、指名手配だ。

顔写真と名前、個人情報が書かれた手配書が各人民班(町内会)に回されているとのことだ。例えば7月に行方不明になっていた男性が摘発され、家に連れ戻された。しかし、11月に再び行方不明になってしまった。彼を含めて勝湖(スンホ)郡では5人の行方不明者がいて、いずれも指名手配されている。

北朝鮮で行方不明になることは、登録した居住地から無断で離脱する違法行為であり、脱北の可能性もあるとして政治事件として取り扱われる。主に国境沿いや国境に比較的近い地域で摘発が行われていたが、そんな行方不明者が首都・平壌にほど近い地域でも発生している。いずれも食べるものが底をつき、生き延びるために家を出た人々だ。
(参考記事:「絶対に見逃すな」北朝鮮警察が神経を尖らせる”行方不明者たち”

勝湖里セメント工場に務めていたキムさんは、食べるものがなく栄養失調にかかったが、それから1カ月ほどしたある日、忽然と姿を消した。安全部は、そんなキムさんを犯罪者扱いして指名手配令を下し、市民を呆れさせている。それは、この情報を伝えた幹部とて同じだ。

「勝湖郡のみならず、他の地域でも行方不明になる人が増えているが、ほとんどが寒さと飢えに耐えかね、破れかぶれになって家を出て、山の中や海岸にテントを張り、狩りをしたり魚介類を取ったりして生き延びるケースが多い」
「そんな事情があるのに、司法当局はすべての行方不明者を国境を越えて脱出した犯罪者と見て指名手配している」

かつて、工場に勤めていればわずかばかりの給料と、食べていくために充分な食糧配給が得られたが、それがストップした後、主に女性が市場で商売して現金収入を得て生計を立てていた。ところが極端なゼロコロナ政策で国境が封鎖され、極度の食糧不足とモノ不足に陥った今、なんとか生き延びるために世捨て人になるしかないのだ。

それすら許さず、強制的に家に連れ戻すことは、事実上の死刑宣告に他ならない。
(参考記事:山ごもりする世捨て人を統制下に置こうとする北朝鮮の「ご配慮」


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