金正日に処刑された最高幹部11人の「逸脱行為」

そしてあるとき、国家安全保衛部(秘密警察)を通じて彼らのやりたい放題が金正日氏に報告され、11人が処刑される運びとなった。

だがそもそも、幹部たちの行状は金正日氏を見習ったものだ。彼の父(金正恩氏の祖父)である故金日成主席の時代には、幹部たちの性的スキャンダルは厳罰の対象だったと、チュ・ソンハ氏は説明する。それを「不問」にしたのが、誰よりも乱れた生活を送っていた金正日氏だった。

ではなぜ、金正日氏は11人を処刑したのか。チュ・ソンハ氏は言及していないのだが、おそらくは張成沢、崔龍海といった幹部個人が派閥を形成することに対するけん制だったのではないか。張氏と崔氏の2人は処刑されなかったが、両人とも何度かの失脚を経験している。

その後、張氏は遂に金正恩氏によって処刑されたが、崔氏はなおも健在だ。

「女性たちを焼いた」

韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の近著『3階書記室の暗号 太永浩の証言』(原題)によれば、2013年12月に金正恩氏の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長が処刑された際、いっしょに粛清された幹部について、次のような情報が出回ったという。