女性少尉を性上納でボロボロに…金正恩「赤い貴族」のやりたい放題

捜査機関も、パルチザンの息子を裁くどころか、取り調べすらできなかった。庶民であるキム看護師の両親は、悔しい思いを胸の奥にとどめ、沈黙するしかなかったのだろう。そこには、性暴力は被害女性の落ち度とする北朝鮮社会の風潮も影響していただろう。(参考記事:北朝鮮「突撃隊」で性暴力の餌食になった20代の女性隊員

2016年5月に朝鮮労働党第7回大会が開かれたが、呉鉄山氏は党候補委員に選出されなかった。兄の呉琴鉄(オ・グムチョル)副総参謀長や他の抗日パルチザン家系の人物も、地位が引き下げられた。犯罪に対する処罰ではなく、権力基盤を固めようとしていた金正恩党委員長が、既得権力化していた彼らを除去しようとしたことによるものと思われる。(参考記事:金正恩氏「パルチザン2世」をけん制か…相次ぐ降格

その直後の同年8月、元駐英北朝鮮公使の太永浩(テ・ヨンホ)氏が韓国に亡命する事件が起きた。夫人は、呉氏兄弟の妹の呉恵善(オ・ヘソン)氏。その後の兄弟の動静は伝えられていない。「裏切り者」とされた特権階級の家族がどうなったか、今までの事例を考えると、答えはおのずと推し量られるであろう。

(参考記事:金正恩氏が1千人を処刑し家族ら2万人を粛清か…脱北高官ら証言