北朝鮮軍に衝撃を与えた「水着アイドル」の悩殺作戦

韓国国会は14日の本会議で、北朝鮮に向けた体制批判のビラ散布の禁止などを盛り込んだ「南北関係発展に関する法律」の改正案を可決した。圧倒的多数を握る文在寅大統領の与党・共に民主党が野党の反対を押し切って成立させた。

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改正法は軍事境界線一帯でビラを散布するなど南北合意書に違反する行為を行った場合、3年以下の懲役または3000万ウォン(約280万円)以下の罰金に処することができると定めている。

これに対して保守系野党や国内外の人権団体からは、「文在寅政権と与党は北朝鮮の脅しに屈し、北朝鮮国民の人権と韓国の言論の自由を犠牲にした」との批判が出ている。

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今回の法改正で想定されたのは、前述のとおり北朝鮮の体制を批判するビラだ。たとえば脱北者団体・自由北韓運動連合が北に向けて飛ばしたビラでは、北朝鮮の一般国民が決して知ることのできない金一族の「暗部」が暴露されている。

もっとも、こうしたビラの散布は、南北双方が行ってきた。北朝鮮は、韓国に経済力で勝っていた1960年代から70年代にかけて、自国は「民衆中心の国」であり「医療費も要らず公害のない民衆が住み良い社会」であると宣伝し、金日成主席の偉大さをアピールするビラを南に飛ばした。当時なら、一部の韓国国民に対してそれなりの説得力を持ったかもしれない。

一方、南北の国力が逆転した1980年代、韓国当局は水着姿の美人タレントらの「悩殺写真」を刷ったビラを前線の北朝鮮兵士めがけて散布し、脱走と亡命を促した。こうしたグラビアの類を「非社会主義的」だと排斥する北朝鮮社会では、決してお目にかかることの出来ないシロモノだ。洗練された韓国美女の水着写真を見た18、19歳の北朝鮮兵士が、どれほどの衝撃を受けたかは想像に難くない。

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韓国側が北朝鮮兵士に向けて散布したビラは、美女たちの写真とともに「走れば5分!」「本物の自由と幸福がアナタを待っています」「一緒に暮らしましょう!」などと呼びかけている。北朝鮮側も韓国人タレントの写真を盗用して同様のビラを撒いたが、説得力の違いは歴然だろう。

こうしたビラの散布合戦が長く続いてきたのは、それなりの効果が見込まれてきたからだろう。北朝鮮では4日に行われた最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で、「反動的思想・文化排撃法」が成立した。朝鮮中央通信によれば、同法は「反社会主義思想・文化の流入、流布行為を徹底的に防ぎ、われわれの思想、われわれの精神、われわれの文化をしっかり守って思想陣地、革命陣地、階級的基盤をいっそう強化する」ためのものだ。つまりは韓流をはじめ、海外からの情報・文化の流入を徹底的に遮断するということだ。

北朝鮮が今に至ってこうした法律を制定するのは、経済制裁と新型コロナウイルス禍で国家が弱っている今、人々に「自由への憧れ」を抱かせる海外情報の流入が、体制の安定にとって何よりも厄介になっているということではないか。

韓国国会がこのタイミングで「対北ビラ禁止法」を成立させてしまったのは、なんとも惜しいことだと言わざるを得ない。