中国の王毅国務委員(外交担当)兼外相が25日から韓国を訪問する。同氏のソウル訪問は昨年12月以来、約1年ぶりで、新型コロナウイルスの感染拡大以降で初めてだ。 これを受け、韓国の一部で緊張感が漂っている。朝鮮日報は同氏の訪問について、次のように書いている。 「韓米日三角共助を通じた中国に対するけん制の動きを懸念してきた中国としては、米国主導の多国間安保協議体クアッド(Quad)など米中対立懸案に対する中国の立場を説明し、韓国の協力と理解を求めるものと見られる」 この間、韓国政府 ...

北朝鮮当局は先月27日から、中国との国境に面した咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)、鐘城(チョンソン)、穏城(オンソン)に対して、封鎖令を発した。 表向きの理由は「新型コロナウイルスの流入遮断」だが、実際は、国境警備のために派遣された朝鮮人民軍(北朝鮮軍)暴風軍団の兵士が、普段から自分をいじめていた副分隊長を殺害後に逃走する事件が起きたことがきっかけだ。 コロナ感染が疑われる患者が発生した両江道(リャンガンド)や慈江道(チャガンド)でも封鎖令が発せられているが、 ...

国連総会第3委員会(人権)は18日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議案を議場の総意(コンセンサス方式)により無投票で採択した。同趣旨の決議採択は16年連続である。 また、決議案では人権侵害を国際刑事裁判所(ICC)に付託し、「最も責任ある者に対する追加制裁の考慮」など適切な措置などを取るよう勧告がなされている。絶対的な独裁体制を敷く北朝鮮で「最も責任ある者」と言えば、金正恩党委員長を置いてほかにいない。ICCへの付託と責任者の処罰の勧告は7年連続だ。 この7年の間に、米国では民 ...

北朝鮮が未曾有の食糧危機に襲われた1990年代後半。多くの人が家や家族を失い、生きるために国境を川を渡り中国へと向かった。 数多くの女性が人身売買組織の魔の手にかかり、中国人男性に売られるなどした。その犠牲者は数万人とも言われているが、正確な統計は存在しない。暴力、強制労働、強制送還や女性の韓国行きによる家族離散、望まぬ性産業への従事など、さらなる人権侵害を招いている。 国際社会の厳しい批判にも、人身売買が横行する状況は未だに改善していない。デイリーNKの内部情報筋が伝えた事 ...

日本ではあまり知られていないが、北朝鮮の観光地は昨年まで、中国やロシアの観光客でなかなかの賑わいを見せていた。ところが北朝鮮政府は、新型コロナウイルス対策で国境を封鎖。人影の絶えた観光地では、現地の人々が困窮を強いられ、一部は栄養失調に陥っているという。 食糧不足の伝えられる北朝鮮だが、それでも依然と比べれば供給量は大きく増え、深刻な栄養失調は貧困層や軍隊の一部、孤児院などに限られるようになっていた。いったい、北朝鮮の観光地で何が起きているのか。 (参考記事:北朝鮮「骨と皮だ ...

北朝鮮の首都・平壌にある平壌医科大学。朝鮮が日本の植民地支配下にあった1929年に設立された平壌医学専門学校が前身で、北朝鮮建国直前の1948年9月に大学として設立された。2010年には最高学府の金日成総合大学の医学部に改変されたが、2019年に再び独立、北朝鮮医学界の最高峰としてそびえたっている。 この平壌医大が突如として批判の矢面に立たされた。 国営の朝鮮中央通信は、今月15日に開催された朝鮮労働党中央委員会(中央党)第7期第20回政治局拡大会議で、金正恩党委員長は、平壌 ...

最近、韓国の要人が相次いで日本を訪問し、菅義偉首相と面談した。まず、情報機関である国家情報院の朴智元(パク・チウォン)院長が8日から訪問。続いて12日から、金振杓(キム・ジンピョ)会長ら韓日議員連盟の代表らが日本を訪れた。 日韓関係が「戦後最悪」とも言われる状況にあって、朴氏の訪日は「何か動きが出るのか」という期待を抱かせた。歴史的に、国情院長は北朝鮮との対話でも重要な役割を果たしてきており、今回も特別なミッションを担っているかもしれないと思わせたのだ。 結果的に、朴氏や議連 ...

共同通信によれば、国際オリンピック委員会(IOC)は17日、バッハ会長とオーストラリアのモリソン首相が来日中の東京都内で会談したと明らかにした。首相は同国北東部クイーンズランド州への2032年夏季オリンピック・パラリンピックの招致で、政府の全面支援を約束したという。 報道によれば、クイーンズランド州はブリスベンやゴールドコーストなどでの開催を想定しているという。計画の詳細はわからないが、聞いただけでなかなか魅力的に感じる。 一方、2032年五輪招致では韓国と北朝鮮が共同開催を ...

北朝鮮の北部で、また「コロナ騒ぎ」が起きている。高熱の症状を見せ、隔離される人が続出しているというのだが、どういうわけか「でっち上げ」ではないかとの疑惑が浮上している。 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、匿名を要求した両江道(リャンガンド)の幹部の話として、道庁所在地の恵山(ヘサン)市で、今月2月から11日までの間に、40人のコロナ感染疑い患者が発生したと報じた。 いずれも高熱の症状を見せ、市当局により、市内中心部の恵明旅館(ホテル)で20日間の隔離措置を受けてい ...

8月末に韓国で発売されたベストセラー対談集『一度も経験したことのない国』では、文在寅政権誕生の原動力となった「586政治エリート」の堕落ぶりが辛辣に批判されている。著者の中でもTBS(交通放送)のカン・ヤング記者は、彼らは「私益追及集団」に成り下がったと切って捨てている。また、陳重権(チン・ジュンゴン)元東洋大学教授は「既得権勢力の世代の再生産段階に入った」と指摘。徐珉(ソ・ミン)壇国大学教授も、586政治エリートの不透明なカネの流れに言及した。 ※※※※※※※※※※※※※※ ...

韓国の進歩系知識人たちが、かつて支持した文在寅政権に反旗を翻す形で出した対談集『一度も経験したことのない国』は、8月末から4週連続でベストセラー第1位になった。5人の著者たちはプロローグで、次のように慨嘆している。 (文在寅政権が誕生して間もなく)経済は奈落の底に落ち、不動産は暴騰しました。日本との関係はこれ以上悪くなりようがないほどに悪化し、米国との関係も軋みました。南北関係は朴槿恵政権の時代に戻りました。不平等と(格差の)両極化はいっそうひどくなり、出生率は記録的に落ち続 ...

8月末に韓国で発売されたベストセラー対談集『一度も経験したことのない国』の話題が、最近になり日本でも紹介されている。2週間早く発売された『検察改革とロウソク市民』というタイトルの本が別名「曺国(チョ・グク)白書」と呼ばれるのに対し、同書は「曺国黒書」と呼ばれる。 「白書」は娘の不正入学や学歴の偽造、一家の不透明な投資ビジネスなどの疑惑に塗れて辞任した曺国前法相を擁護しているのに対し、「黒書」は疑惑の闇の深さと背景に光を当てようとするものだ。本の売れ行きは「黒書」の圧勝で、韓国 ...

北朝鮮の人々、特に男性は所構わずタバコを吸う。道端、レストラン、ホテルの室内はもちろん、書店の中ですら平気で吸う。 誰かに会ったら、まずはタバコを勧める習慣が定着しており、紫煙をくゆらせながら話に花を咲かせるのが北朝鮮の当たり前の光景だ。単なる個人の嗜好品を超えて、社交に欠かせないアイテムになっているとも言える。 さらには、国際社会の制裁に違反しない手軽な外貨獲得手段としても、タバコは重宝されてきた。 2017年9月に中国の長春で開催された国際見本市「東北アジア博覧会」の北朝 ...

北朝鮮は残念ながら、正直者がバカを見る社会だ。人々を救うために正しいことをしても、国や地域のトップの意にそぐわないことならば、命すら危ぶまれる。 韓国にほど近い北朝鮮の穀倉地帯、黄海南道(ファンヘナムド)で、また一人の正義感の強い幹部が、命を奪われようとしている。 道内の延安(ヨナン)郡の中心地にある協同農場は、2年連続で深刻な凶作となった。とりわけ今年は、梅雨の長雨と台風の被害により、惨憺たる作況となった。 ここで働く農民たちは、当面の食い扶持すら確保が難しい状況となってい ...

北朝鮮は、とにかく薬物犯罪の非常に多い国だ。その種を蒔いたのは、あろうことか先代の最高指導者である金正日総書記だった。 1980年代から金正日氏の指示により、北部山間地域の大規模な農場で「白桔梗(ペクトラジ)」の名でアヘンが栽培された。その後、国営製薬工場では覚せい剤を製造するようになったが、横流しにより国内にも流通。おりしも当時は大飢饉「苦難の行軍」の真っ只中だった。人々は生き抜くために覚せい剤の密売を始め、国内では中毒者が急増した。 (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売 ...

北朝鮮は、10月10日の朝鮮労働党創建75周年に際し、大赦(恩赦)を実施した。 米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋は、先月8日に、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)市にある全巨里(チョンゴリ)教化所(刑務所)から、過去の大赦より遥かに多い300人もの受刑者が釈放されたと伝えた。 残りの刑期が2年以下、または健康状態の悪い人、そして今までとは異なり脱北後に強制送還された人も対象となった。 別の情報筋も、咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸興(ハムン)のにあ ...