今月5日から行われている北朝鮮最大の政治イベント、朝鮮労働党第8回大会に関しては今のところ、次のような点が注目されていると言える。 ・金正恩氏が総書記に就任した ・北朝鮮が核兵器開発をより強力に推進していくことが鮮明になった ・アメリカを最大の敵と呼び、敵視政策の撤回を迫った ・金与正氏が少なくとも肩書の上で降格された ・金正恩氏が経済制裁の失敗を率直に認めた いずれも深く分析する価値のある、興味深い要素だ。ただ筆者としてはさらに、次の点に興味をひかれた。金正恩氏は党中央第7 ...

北朝鮮の平壌で5日から行われている朝鮮労働党第8回大会で10日、党中央委員138人と委員候補111人が選挙され、続けて行われた党中央委員会第8期1回総会で、政治局常務委員会委員など権力中枢の指導機関メンバーを選出した。 その中で注目を集めているのは、金正恩氏の妹・金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長の人事だ。政治局委員候補から外れており、肩書の上では降格と言える。党中央委員会部長の名簿にも名前がない。これまでのスピード出世を考えれば、肩透かしに近い結果と言える。 実際、北朝鮮 ...

北朝鮮の平壌で5日から行われている朝鮮労働党第8回大会で9日、同党規約の改正が討議・決定された。 朝鮮中央通信によれば、改正された党規約は序文に、「海外同胞の民主的民族権利と利益を擁護、保障し、海外同胞を愛国・愛族の旗印の下に固く結束させ、民族的自尊心と愛国的熱意を呼び起こすことに関する内容」が新たに盛り込まれたという。 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の活動や日朝関係に、こうした内容がどのように影響するか注目される。北朝鮮の最も組織化された在外公民団体は朝鮮総連だ。改正され ...

北朝鮮の金正恩党委員長は5日から行われている朝鮮労働党第8回大会での報告で、「社会生活のあらゆる側面で北朝鮮独自の革命的生活様式を確立し、非社会主義的な要素を完全に排除する」よう呼び掛けた。 非社会主義とは、北朝鮮が「社会主義に似つかわしくない」と考えるすべての要素を指す。金正恩氏の呼びかけで、そうした要素に対する取り締まりはいっそう激しくなるだろう。 また、12月4日の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会では、「反動的思想・文化排撃法」が採択されている。主に韓流と海外 ...

新型コロナウイルスの国内への流入を極度に恐れる北朝鮮は、国境警備を極度に強化している。 昨年2月、国家保衛省(秘密警察)は、中国の辺防部隊(国境警備隊)に対して、自国民に国境付近での活動はさせるな、さもなくば銃撃するとの通知文を送っていた。中国当局からの抗議を受け、中国国民をも銃撃する方針は撤回したが、自国民は依然として対象としている。 社会安全省(警察庁)は昨年8月、国境地帯の住民に対して、国境沿いに許可なく接近すれば、人であろうが動物であろうが無条件で銃撃するとの布告を出 ...

北朝鮮と中国の国境を流れる豆満江(トゥマンガン)。中流でも川幅は数十メートル、上流に至っては数メートルしかないところもあり、冬には川面が氷結することから、密輸や脱北が盛んに行われてきた。 しかし、近年の国境警備の強化で、銃撃を受けるなどの不慮の事故で命を落とす人も少なくない。 (参考記事:遺体を氷の上に放置…北朝鮮「国境警備隊」の猟奇的な実態) 今回、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきたのは、将来に絶望し川を渡って脱北しようとした女子高生と、密輸や ...

北朝鮮の平壌で、5日から4日間にわたり朝鮮労働党第8回大会が開催された。2016年の第7回大会から5年ぶりである。 それ以前、朝鮮労働党は1980年に第6回大会を開いてから、実に36年間も党大会を開催しなかった。金正恩党委員長が最高指導者となってからやっと、党大会の開催は正常軌道に戻ったことになる。 北朝鮮では、このような公式な行政手続きの正常化は、金正恩氏の大きな業績のひとつとされている。それは逆に言うと、先代の指導者である金正恩氏の父・金正日総書記の統治に問題があったとい ...

北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会(中央党)の11局は、外国から取り寄せた核・ミサイル関連の機器や資材を研究、分析する超重要部署の一つだ。その部署の幹部と研究者が大量に緊急逮捕される事件が起きた。それも、よりによって朝鮮労働党第8回大会の期間中にだ。 北朝鮮は、国家的な記念日や重要な政治行事の前後に、事件、事故が発生することを忌み嫌うのだが、党大会の最中でも逮捕に踏み切ったのは、重大犯罪だったからだ。 スパイとつながっていたのか。核の資料を外国に売り払ったのか。いや、そうではない。 ...

2016年の70日戦闘と200日戦闘、それに続いて始まった1000日戦闘、そして最近まで行われた80日戦闘と、北朝鮮では戦闘が続いている。もちろん、戦争を行っているわけではない。 軍事優先国家の北朝鮮では、様々な軍事用語が使われ、カンパニア(キャンペーン)の名称として「○○戦闘」が使われる。5日から開催されている朝鮮労働党第8回大会で、「○○工場では計画を何百%超過達成した」などと言った形で示すための成果を無理やり作り出すために、人々をこき使うのである。 特に2020年は、以 ...

朝鮮労働党第8回大会が5日、平壌で開幕した。党規約に5年に1度の開催が定められた同大会は、党の最高指導機関に位置づけられる。 数日間にわたり行われる大会の初日、金正恩党委員長は「開会の辞」で、非常に印象深い言葉を発した。 同氏は、党が過去5年間に達成した成果は「決して少なくなかった」としながらも、「しかし、国家経済発展5カ年戦略の遂行機関が昨年までに終わったが、掲げた目標をほとんどすべての部門で大きく下回った」と述べたのである。 さらに、「我々の努力と前進を妨げ阻害する様々な ...

新型コロナウイルス対策として、国境警備を強化している北朝鮮。そのために、数千人単位の兵力を投入しているが、その人員の脱北事件が相次いている。 両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、金正淑郡に駐屯している第7軍団の分隊長が、夜間勤務中に小銃を持ったまま逃走を図り、国境を越えて中国に逃げ込んだと伝えた。 この件について韓国の朝鮮日報は、12月23日夜に郡内の上台里(サンデリ)で、勤務中だった24歳のペクという兵士が、5.45ミリ小銃1挺と、銃弾60発を持ったまま、国境 ...

北朝鮮の首都・平壌は「選ばれし者」の都市だ。成分(身分)の良さ、忠誠心の高さや国への貢献度が認められた人しか住めない特別なところで、居住することそのものが特権と言えよう。 生活面でも優遇されている。国からの配給が途絶えて久しい地方とは異なり、最近まで配給が続けられてきた。しかし、経済難が深刻化した昨年初めから配給の遅配、欠配が増え、市民の間では不満と不安が高まった。治安の悪化も深刻なようだ。 (参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた) 平壌のデイリーN ...

かつての北朝鮮は、2500万人の国民すべてが食糧を国からの配給に頼る、世界にもまれに見る配給依存型社会だった。国民個々人の米びつの鍵を国が握ることで、安定した抑圧社会を築くことに成功した。 しかしそんなシステムも、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」を前後して崩壊。配給を受け取れるのは、平壌市民、軍需工場や炭鉱の労働者、政府高官、安全部(警察)、保衛部(秘密警察)など司法機関関係者など、一部に限られるようになった。 (参考記事:首都エリート層も配給停滞…金正恩「経済困窮」の ...

北朝鮮は決して認めようとしないが、様々な資料や脱北者の証言により、同国には厳格な身分制度のあることが知られている。先祖や本人の活動歴、地位、職業などにより「出身成分」「社会成分」「階層」という3種類の身分が存在し、それに応じて特権を享受する者もいれば、厳しい差別に晒される者もいる。 その頂点に位置するのは金正恩党委員長をはじめ、彼の祖父・金日成主席に連なる一族だ。そしてその次に身分の高いのは、金日成氏とともに抗日パルチザン活動を行っていた人々とその子孫である。その特権的な地位 ...

北朝鮮は、自国内で起きた犯罪に関する統計を一切公表していないため、多いのか少ないのかもすら確認できない。しかし、脱北者や国内に住む人から漏れ伝わる情報で、ある程度の状況をうかがい知ることはできる。 たとえば咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は2013年2月、会寧(フェリョン)市内で被告18人に対する公開裁判が行われたが、うち8人は詐欺行為を犯した者だったと伝えた。詐欺行為については、ほかにも様々な情報が伝えられており、北朝鮮国内でこうした犯罪が少なからず起き ...

北朝鮮は2020年1月から、新型コロナウイルス対策として国境を封鎖。自国民であっても一切の入国を禁じている。ところが、「密・再入国」が後を絶たない。 出稼ぎで中国に行っていた北朝鮮の女性が密かに帰国したことが発覚し、地域一帯に封鎖令が下される騒ぎになったと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 脱北して中国に出稼ぎに行っていた30代女性が11月末、国境の川を越えて両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)に忍び込み、自宅に戻った。 噂が立たぬように、しばらくは家でおとなし ...