2011年12月17日、金正日総書記が急逝したことによって始動した金正恩政権はもうすぐ発足から10年となる。この間の歩みの中で、特筆されるべきはその無慈悲な粛清政治だ。 金正恩氏の本格的な粛清政治は2013年から始まった。叔父の張成沢(チャン・ソンテク)元朝鮮労働党行政部長の側近らが処刑場に送られ、続いて張氏本人と、彼に連なる人々が処刑されたり政治犯収容所に送られたりした。 彼が処刑された後、愛人だった元トップ女優も粛清されたと言われる。 (参考記事:【写真】女優 キム・ヘギ ...

「億万のカネをつぎ込んででも、民族反逆者を無条件で捕まえて、見せしめとして厳罰にせよ」 これは、金正恩総書記の下した指示、「1号方針」だ。 表面上は法治国家ということになっているが、実際は最高指導者の鶴の一声が何よりも効力を発するのが北朝鮮の体制。だが、特定の一般犯罪者に対して、1号方針で逮捕を命じることはそうあることではない。一体何が起きたのだろうか。詳細を、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋の話から紐解いてみよう。 この話の主人公は、中国との国境に接する道内の ...

韓国の左派系与党・共に民主党は10日、来年3月の大統領選に向け、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事を公認候補に選出した。 李在明氏は日本に対する強硬な発言で知られる。例えば韓国紙・中央日報(日本語版)が7月23日に掲載したインタビューでは、次のように語っている。 「(日本が強硬なのは)日本軍国主義勢力の侵略意志のためだ。日本が独島をなぜ繰り返し問題にするのか。いつか大陸に進出する時、トリップワイヤーにするためではないだろうか。私はそれで日本の大陸進出の夢が武力的方式で噴出する ...

北朝鮮の金正恩総書記は10日、朝鮮労働党の創建76周年を迎えて行った記念演説で、過去10年間の執権期間を振り返りつつ、今後5年で国民の衣食住の問題を解決すると表明した。 しかし、貿易停止などの行き過ぎた新型コロナウイルス対策と自然災害で、北朝鮮国民の生活の苦しさは加重されているのが現実だ。 金正恩政権は幕開けと同時に、悲惨な大量餓死を引き起こした。 韓国に程近い北朝鮮の黄海南道(ファンヘナムド)。平野が広がり、気候も穏やかなため、昔からコメが多く取れる穀倉地帯として有名だ。1 ...

北朝鮮の金正恩総書記は10日、朝鮮労働党の創建76周年を迎えて演説した。金正恩氏がこうした形で、党創建日の記念演説をするのは初めてだ。 特に注目されるのは、演説の冒頭では「この10年間、わが党建設において」と述べている点だ。金正恩氏は父の金正日総書記が2011年12月17日に死去したのを受けて、最高指導者となった。 そのため、金正恩政権の本格的な船出は2012年と見られてきたが、本人はあくまで2011年末が政権の始まりだと考え、10年の節目として異例の演説を行ったもようだ。 ...

金正恩総書記が今年3月に、「普通江川岸段々式住宅区」建設と共に打ち出したプロジェクト、「平壌市1万世帯住宅」建設。平壌市郊外の寺洞(サドン)区域の松新(ソンシン)・松花(ソンファ)地区など5つの地区に2025年までに毎年1万世帯ずつ、全体で7万世帯の住宅を建設するというものだ。 松新・松花地区の住宅では内装、外装工事が盛んに行われているが、平壌のデイリーNK内部情報筋は、今年中の完成は不可能だと見ている。その理由は電気と暖房だ。 この地域では、新築住宅に電気を供給するための送 ...

ドングリは、日本ではあまり食用として使われないが、お隣の朝鮮半島ではよく食べられる食材だ。 韓国では、粉にして水にさらしてアクを抜いたものをコンニャクのように固めて、醤油、ニンニク、ネギなどをかけて食べる。しかし、あくまでも食卓を彩る様々な小皿料理の一つに過ぎない。 これが軍事境界線の北側に北朝鮮になると事情が異なる。国際社会の制裁、相次ぐ自然災害に加え、昨年1月からのコロナ鎖国で深刻な食糧難に陥っている北朝鮮で、ドングリは貴重な食べ物だ。朝鮮労働党は直々に「ドングリ戦闘」を ...

コロナ以前には日本海の大和堆周辺で、大々的な操業を行っていた北朝鮮の漁船団。海上保安庁が2019年に警告を与えた北朝鮮漁船は1308隻にのぼった。ところが、昨年からその姿が忽然と消えた。 (参考記事:北朝鮮漁民「100年前の船」で無謀な出漁…日本の漁師から同情の声も) それもそのはず。北朝鮮当局が出漁を禁じたからだ。金正恩総書記が海水からの新型コロナウイルスの感染拡大を恐れてのことだと伝えられているが、海に頼って生きてきた多くの人々が生活苦にあえいでいる。そんな人々が遂に行動 ...

北朝鮮の警察庁に当たる社会安全省が、新型コロナウイルス対策として、国境線及びそこから1〜2キロの緩衝地帯に許可なく接近すれば無条件で銃撃するとの布告「北部国境封鎖作戦を阻害する行為をしないことについて」を出したのは昨年8月。 それ以降、密輸、脱北、密入国を試みる者はもちろんのこと、そうとは認識できずに川に近づいてしまった障害を持った女性、人間の定めた国境など気にせずに行き交う野生動物などが、次々に犠牲になっている。釣り、水汲み、洗濯などで生活と密着していた国境の川が、近づけば ...

世界最悪の人権侵害国家と言われる北朝鮮を末端で支えている組織といえば、安全部(警察署)と保衛部(秘密警察)だ。 特に保衛部は、金正恩体制の恐怖政治を支える役割を担い、拷問や公開処刑、政治犯収容所の運営を担当してきた。 そして、その要員たちは絶大な権限を振りかざし、暴言、暴行は当たり前で、何かに付けて庶民からワイロを搾り取ってきた。 (参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー) そんな彼らがぬくぬくと暮らしているかと言えば、必ずしもそうではない。恨みを買って ...

社会安全省(警察庁)は昨年8月、国境地帯の住民に対して、国境沿いに許可なく接近すれば、人であろうが動物であろうが無条件で銃撃するとの布告を出した。それ以降、人間、野生動物を問わず発見され次第撃ち殺される事態が続発している。 中でも、国境警備のために派遣された朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊部隊の暴風軍団は、素行が悪く、次から次へと人や動物を射殺しており、地元民に恐れられている。 そしてまた、食糧難の中、食べ物欲しさに国境を超えた人が命を落とした。 (参考記事:「気絶、失禁する人が ...

北朝鮮がミサイル実験、核実験、軍事パレードなど軍事力を見せつける行為を行い、人民が喜びの声を上げ大会を開き、国営メディアがそれを伝える。今まで何度も繰り返されてきた流れだ。 2016年2月の長距離弾道ミサイル「光明星4号」の発射実験の後、首都・平壌では数十万人の市民が動員され、関係者を歓迎するパレードが行われ、2017年9月の大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験では、全国各地で軍民慶祝大会が開かれた、と言った具合だ。 (参考記事:北朝鮮各地で「水爆実験成功」を祝う大 ...

中国国境に接する北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)の民家で今月24日、中年男性の遺体が見つかった。遺体は死後10日ほど経ち、左腕に刃物で刺した傷があることから、自ら命を絶ったものと結論付けられたようだ。 亡くなったのは、50代男性のキムさん。一体彼に何が起きたのか、現地のデイリーNK内部情報筋が詳細を語った。 彼は、北朝鮮で超のつくエリートである空軍パイロットだった。20年あまり勤め上げた後で、上佐(中佐と大佐の間)で除隊した。その後、故郷の会寧に戻って、 ...

秋の収穫が本格化した北朝鮮。国営メディアは、各地の収穫の状況を伝えると同時に、強風、大雨、雹による収穫物への被害が発生しているとして、収穫を急ぐよう呼びかけている。 自然災害同様に、収穫物に被害を与える物がある。窃盗や横流しだ。 デイリーNKは最近、朝鮮労働党両江道(リャンガンド)委員会が今年7月初め、下部機関に配布した政治事業資料「わが党の崇高な愛が宿る糧穀取り扱い事業をより責任を持って行おう」を入手した。その内容は、食糧の窃盗や横流しは戦時法で裁くと警告するもので、今後、 ...

コロナ以前には日本海の大和堆周辺で、大々的な操業を行っていた北朝鮮の漁船団。海上保安庁が2019年に警告を与えた北朝鮮漁船は1308隻にのぼった。ところが、昨年からその姿が忽然と消えた。 (参考記事:北朝鮮漁民「100年前の船」で無謀な出漁…日本の漁師から同情の声も) それもそのはず。北朝鮮当局が出漁を禁じたからだ。金正恩総書記が海水からの新型コロナウイルスの感染拡大を恐れてのことだと伝えられているが、海に頼って生きてきた多くの人々が生活苦にあえいでいる。そんな人々が遂に行動 ...

北朝鮮国内にいるデイリーNKの取材協力者によると、同国内で「新型コロナウイルスのワクチン開発に成功した」との噂があるという。だが、仮に何らかの薬が開発されたのだとしても、同国がエビデンスが明確でない医薬品や健康食品を製造、輸出してきたことを考えると、今回の話も眉唾ものだろう。 結局、ワクチンは海外からの輸入に頼るしかないが、発展途上国へのワクチン普及を進める「COVAXファシリティ」を通じたワクチン供給を辞退している。 その理由は一体何なのだろうか。その一端を示す朝鮮人民軍( ...