北朝鮮では、2007年に定められた刑法附則で、国家財産の略取、強盗、破損、貨幣偽造、故意の重傷害、誘拐などについて、従来の刑法の定めた最高刑を上回り、死刑を宣告できると定めている。 その中の一つが性的暴行だ。刑法279条では、暴行、脅迫により女性を性的暴行し、死に至らしめた場合には10年以上の労働教化刑(懲役刑)と定めているが、実際には死刑にもなりうる。しかし、北朝鮮政府は2017年7月に国連女性差別撤廃委員会に提出した報告書では、性的暴行罪で処罰された事例は5件に過ぎないと ...

韓国に亡命したチョ・ソンギル前駐イタリア北朝鮮大使代理の妻であるイ氏が、北朝鮮に残る娘の安否を憂慮し、北朝鮮への帰国を希望しているという。このことは韓国の李仁栄(イ・イニョン)統一相も8日に行われた国会外交統一委員会の国政監査で認めている。 北朝鮮当局は、中国などで拘束された脱北者が送還された場合、韓国行きを試みた脱北者を「反逆者」として扱い、特に重い罰を下す傾向がある。 今のところ、夫妻の娘は元気に過ごしているとの情報があるが、予断を許さない状況と言える。 (参考記事:若い ...

北朝鮮は、国内への新型コロナウイルスの流入を防ぐために、国境を封鎖し、貿易を停止、さらに国境の警備を強化して、密輸に対して厳しい取り締まりを行っている。 そのための人員として「爆風軍団」と呼ばれる特殊部隊員3000人を現地に投入したが、現地の民間人、地元部隊の軍人とトラブルを起こしたり、中国に不法侵入して強盗を働いたりと、様々な問題を引き起こしている。 そのこととの関連は不明だが、当局は密輸の取り締まりに当たる別組織を立ち上げ、人員をさらに投入した。 (参考記事:北朝鮮の特殊 ...

2007年冬、北朝鮮では様々な感染症が全国的に蔓延した。 例えば咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)では、猩紅熱(しょうこうねつ)の感染が広がり、3000人以上が罹患した。病気で働けなくなった人の中からは、コチェビ(ホームレス)になったり、餓死したりする人が続出しだ。 同じ年の夏、水害に襲われた黄海道(ファンヘド)、江原道(カンウォンド)ではコレラの感染が広がり、国際機関が緊急支援に乗り出した。さらには、両江道(リャンガンド)で始まったはしかが、全国に広がった。 ...

2年前に姿を消し、米国などへの亡命の道を探っていると伝えられていた北朝鮮のチョ・ソンギル駐イタリア大使代理(当時)が昨年7月、妻と共に第三国を経由して韓国に入国していたことがわかった。 韓国の聯合ニュースが与野党および複数の情報関係者の話として伝えたところでは、チョ氏は現在、韓国当局の保護下にある。これまで韓国入りの情報が伏せられていたのは、北朝鮮に残る家族の身を案じた本人の求めに応じたものだという。 隠微な生活実態 一方、韓国の主要メディアはこのニュースを伝えながら、チョ氏 ...

北朝鮮では時に、酒に酔ったうえでの乱闘騒ぎが大事件に発展することがある。今年8月には爆風軍団(特殊部隊)と国境警備隊の乱闘で死傷者が出る事態となった。昨年3月には軍の将校と大学生のグループが乱闘になり、一部の将校が禁固や降格という重い処分を受けた。 しかし、これぐらいなら序の口である。北朝鮮でかつて、軍のある中隊が酒に酔って起こしたトラブルが、流血の惨劇に発展したエピソードを、脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏が、自身のブログで明かしている。 北朝鮮は1986 ...

北朝鮮では過去、犯罪が多発した時期があった。一つは、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころだ。国による配給システムが崩壊し、食べ物を得るすべを持たなかった人々が次々に餓死していった。 一般人同士の犯罪が多発する一方で、燃料、原材料不足で操業停止となった国営工場から設備を盗み出す人が相次いだ。北朝鮮の刑法は、91条から94条の4つを、国家財産の窃盗、横領、搾取に当てているが、これはその当時の状況を反映したものだ。 (参考記事:強盗を裁判抜きで銃殺する金正日流の治安対策) ...

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、北朝鮮の平安南道(ピョンアンナムド)で9月中旬、朝鮮労働党の幹部を非難する「落書き」が発見され、道保衛部(秘密警察)が大々的な犯人捜しに乗り出しているという。 北朝鮮では、党の権威は最高指導者の権威に直結するものととらえられており、それを傷つける行為は政治的事件として扱われ、処刑や政治犯収容所送りなどの厳罰が下されることも珍しくない。 (参考記事:女性芸能人らを「失禁」させた金正恩の残酷ショー) 現地情報筋がRFAに語ったと ...

北朝鮮は、国内における新型コロナウイルスの感染者発生を公式には認めていないが、韓国在住の脱北者の研究者が、北朝鮮の内部資料を用いて、新型コロナウイルスによる死者が発生していたとの内容の論文を発表した。 韓国の北韓科学技術センターのカン・ヨンシル研究委員は、韓国の経済開発研究院(KDI)が発行する「北朝鮮経済レビュー9月号」で、論文「COVID-19に対する北朝鮮の技術的対応」を発表した。 論文は、北朝鮮の中央非常防疫指揮部の内部資料に記載された集計を根拠に、今年5月に北朝鮮国 ...

北朝鮮の金正恩党委員長は近年、朝鮮労働党や朝鮮人民軍、政府高官の大幅な入れ替えを行ってきた。2011年12月に死亡した父・金正日総書記から政権の座を継承した時と比べると、金正恩氏を取り巻く側近たちの顔触れはガラリと変わっている。 朝鮮中央通信は2日、金正恩氏が豪雨による災害復旧現場を視察したことを報じたが、複数の同行者のうち、筆頭に名前が挙げられたのは朴正天(パク・チョンチョン)軍総参謀長だ。金正恩氏の権力継承時には、影も形も見えなかった人物である。 その逆に、金正恩時代を代 ...

北朝鮮から脱北して韓国に入国した人の数は、2020年3月の時点で3万3658人(統一省の統計)。そのすべてが韓国に住み続けているわけではないが、韓国で生まれた脱北者2世を含めると、すでに4万人近くになっていると言われている。 韓国に入国して日の浅い脱北者には、居住地の警察署に所属する警察官が、身辺保護管として付く。北朝鮮のスパイである可能性が排除できないために監視し、同時に、生活上の悩みやトラブルの相談にも乗る。ところが、その身辺警護官が脱北女性に性暴力を振るう事例が相次いで ...

韓国の海洋水産省所属の漁業指導船に乗り組んでいた男性が24日、北朝鮮軍に銃撃され死亡した事件で、北朝鮮の金正恩党委員長は謝罪の意を表明した。 軍事的緊張状態が続くこの海域では、1999年6月と2002年6月の韓国軍と北朝鮮軍の交戦、2010年3月の韓国の哨戒艦撃沈、同年11月の韓国領の大延坪島(テヨンピョンド)砲撃など、衝突が繰り返されてきた。 一方、北朝鮮北部の中国との国境エリアでも、血なまぐさい事件が起きている。 飢えや経済的困窮のあまり、以前から国境地帯で乱暴狼藉を働い ...

元衆議院議員でジャーナリストの山本譲司氏の著書をきっかけに社会的に関心が高まった累犯障害者、累犯高齢者。障害などの理由で出所後に自立が難しく、支援も受けられない人々が、寝床と食事にありつけるなどの理由で何度も軽微な犯罪を犯し、自ら望んで刑務所に入ろうとする。 これは、一般人でも受刑者でも等しく基本的人権が尊重されているからこその現象と言えよう。拘禁施設における人権侵害が常態化している国では考えられないことだ。その典型例のひとつが、北朝鮮だ。 程度の差はあれど、教化所(刑務所) ...

北朝鮮で売春は違法だ。刑法249条「売淫罪」では「売淫行為を行った者は1年以下の労働鍛錬刑に処す。前項の罪状が重い者には5年以下の労働教化刑に処す」とされている。 また、行政罰を定めた行政処罰法220条「売淫行為」は「売淫行為を行ったり、それを助長、仲介、場所を提供した者には罰金または3ヶ月以下の労働教養処分とする」としている。 これは、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころ、生きていくために売春を行う女性が増えたことに対処するために、2004年の法改正のときに新設され ...

韓国青瓦台(大統領府)は26日、海洋水産省所属の漁業指導船に乗り組んでいた男性が北朝鮮軍に射殺された問題で、北朝鮮側にさらなる調査を要請する方針を明らかにした。 青瓦台は、双方の状況説明に食い違いがあるとし、必要なら合同調査を求める考えを示している。 この問題を巡っては、事件発覚後に与野党含め、北朝鮮の行動を糾弾する声が大きかった。その後、金正恩党委員長が謝罪の意を表明したことで、青瓦台や与党の反応はトーンダウンしているが、野党「国民の力」は金正恩氏の謝罪は誠実ではないと主張 ...

北朝鮮・平安南道(ピョンアンナムド)安州(アンジュ)にある肥料工場、南興(ナムン)青年科学連合企業所で今月18日、大規模な爆発事故が発生し、8人が死亡、12人が重傷を負ったと現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 国から肥料の生産量を増やせと矢継ぎ早の催促を受け、ないないづくしの状態で研究を続けた末の事故だった。 (参考記事:1500人死傷に8千棟が吹き飛ぶ…北朝鮮「謎の大爆発」事故) 事故の起こった南興青年科学連合企業所は、国内有数の窒素肥料生産工場で、かつては年間75万ト ...