北朝鮮・平安北道(ピョンアンブクト)塩州(ヨムジュ)に駐屯する朝鮮人民軍第8軍団で、新型コロナウイルスの感染が疑われる患者が続出して、地域一帯が大騒ぎになっている。 北朝鮮は現在に至るまで、国内での新型コロナウイルス感染例は「ゼロ」だとしているが、実際には、数多くの感染者が出ていると見られている。 平安北道のデイリーNK軍内部情報筋によると、ことは9月中旬に遡る。第8軍団の警備中隊2小隊1分隊のチョ下士(伍長に相当)が、発熱の症状を見せて、指揮部の軍医所に搬送された。しかし、 ...

北朝鮮の金正恩総書記は次のように述べている。 「わが国の子どもたちと人民たちをこの世に羨むことなく豊かに暮らせるようにし、彼らの幸せの笑い声、労働党万歳の声を高く響き渡らせることが、わが党の決心であり、意志です」 事あるごとに「人民愛」「子ども愛」を強調し、関連施策を行っている金正恩氏。最近では「幼稚園に食糧を配給せよ」との指示を下している。しかし、現場レベルではその「子ども愛」が「人民愛」と相反する結果を生んでしまっている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報 ...

常日頃から軍と人民の良好な関係維持を訴えている北朝鮮。だが、それは必ずしもそううまくは行っていないという現実を反映しているのかもしれない。 両者のギクシャクした状況が際立つのが、秋の収穫後だ。食糧を確保しようとする軍と国と、コメ一粒でも多く手元に残そうとする農民との攻防が激しさを増すからだ。中には、犯罪行為に及ぶ者すらいる。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が詳細を伝えた。 ある性暴力事件 事件が起きたのは、地域全体が山に囲まれた両江道の中でもさらに山奥の、甲山( ...

かつては2500万人の北朝鮮国民が等しく受け取っていた国からの配給。だが、その多くを依存していた旧共産圏の崩壊により、1980年代から滞りがちとなり、1990年代の半ばになって、ついには完全に行われなくなった。他に生きる術を持たない人々が、次々に餓死していった。これがいわゆる「苦難の行軍」だ。 そんな時期にも配給を受け続けていた人たちがいる。 代表的なのが、国民を監視し、拷問や公開処刑に象徴される恐怖政治で体制を末端から支えていた保衛部(秘密警察)だ。しかし、コロナ鎖国による ...

北朝鮮では、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)と民間人の助け合いの必要性が強調される。その一環として、慰問品の伝達、食事の提供、イベントの開催などが行われてきた。 国営メディアがそれらイベントを美談として取り上げ、両者の団結を強調するのもごく当たり前のも光景だ。しかし、そんな関係に変化が生じつつある。 (参考記事:「軍民大団結は朝鮮革命の伝統」北朝鮮紙が強調) 両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、政府が先月22日、国境(地域)の一部軍人と人民の紐帯を悪用し、反逆的な行為を犯 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は3日、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理(朝鮮労働党政治局常務委員)が、新たに造成されているタワマン団地「平壌市1万世帯住宅」の建設現場を視察したことを報じた。 同通信によれば、金徳訓氏は「住宅の建設が完工段階に入ったことに合わせて単位別、対象別に応じた工程計画を狂いなく実行し、設計と施工の要求を厳格に守って仕上げ工事と園林緑化の質的水準を徹底的に保障して、人民により文化的で幸せな生活を享受させようとする党の構想と意図を立派に実現することを強調した」と ...

北朝鮮には法律も司法制度も存在するが、恣意的な理由で捻じ曲げられることが少なくない。また、法律があっても金正恩総書記の「鶴の一声」の方が優先される。金正恩氏が気に入らない相手は、何の法的手続きすら踏まず、死刑にされてしまうほどだ。表向きは法治主義国家ということになっているが、実際は人治主義の絶対王朝なのだ。 (参考記事:【写真】金正恩の処刑命令を実行する「巨漢兵」たちの正体) 何よりも優先される金正恩氏の命令ではあるが、実際はその場限りで、時間が経つにつれ有耶無耶になることも ...

北朝鮮ではこの時期、協同農場の穀物供出を巡り、農民と軍、政府が毎年のように、三つ巴の争いを繰り広げている。特に今年は、コロナ鎖国による肥料不足、相次ぐ自然災害で例年にもまして作況が悪く、数少ない収穫物の取り合いになっている。 そんな中で、ついに人命が奪われる事態が発生した。詳細を平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:軍と国家が一斉に農場を襲う、北朝鮮「食糧難」の末期症状) 事件が起きたのは、北朝鮮が誇る大穀倉地帯「十二三千里平野」にある文 ...

北朝鮮北部にある両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)。三池淵には、民族の霊山である白頭山があり、さらには抗日パルチザン活動を行っていた金日成主席の本拠地で、金正日総書記の生家とされている「白頭山密営」もある。何重もの意味で、北朝鮮の「聖地」なのだ。 金正恩総書記はそんな地域の再開発事業を進め、何度も足を運び、一昨年12月に行われた竣工式にも参加するほど、並々ならぬ関心を見せた。 (参考記事:金正恩氏「三池淵」再開発の竣工式に参加) そして全国的な食糧難が解消しない中、 ...

一家4人が親しくしていた国境警備隊員を睡眠薬で眠らせ、国境の川を超えて脱北する事件。国境警備隊の隊員が勤務地を離脱して行方をくらました事件。女性とその一家、手助けしていた兵士2人を含めた5人が脱北する事件など、北朝鮮では国境警備の強化とは裏腹に、今月に入って脱北事件が続発している。 いずれの事件も国境警備隊と関連しており、国境警備の規律は崩壊寸前だ。 昨年8月には、任務を怠った多数の国境警備隊幹部が公開処刑された事件もあり、北朝鮮当局はかねがね、警備の立て直しに頭を悩ませてき ...

北朝鮮は昨年来、海での漁業を一切禁じている。金正恩総書記が命じたコロナ対策の「超特級非常防疫措置」で、国境のみならず空中、海上からの行き来も一切禁じられているからだ。これは、北朝鮮が海水を通じてコロナが感染すると考えているというよりも、操業の際に密輸が行われ、そこを通じてコロナが流入しかねないと考えているからのようだ。 一昨年までは漁業が盛んに奨励され、その結果として多数の遭難船が日本の沿岸に漂着していたのがまるで嘘のようだ。海の仕事で生きていた漁民たちが、たちまち生活苦に追 ...

彼らは、目的のためには手段を選ばない。 (参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…) (参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち) 韓国で「脱北美女」タレントとして活動していたイム・ジヒョンさんが突然消息を絶ち、昨年7月に北朝鮮の対外向けプロパガンダメディア「わが民族同士」に登場したことで、韓国社会には波紋が広がった。 彼女がいかにして北朝鮮に戻ったかは、未だミステリーのままだ。脱北して中国に潜伏していた当時、生き伸びるために出演し ...

韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は28日、国会情報委員会による国政監査で、北朝鮮の金正恩総書記が党の会議場に飾られていた祖父の故金日成主席、と父の故金正日総書記父子の写真を撤去し、「金正恩主義」という用語を内部で使用するなど、独自の思想体系の確立を始めたと明らかにした。 また、妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が国家の重要政策を決定する国務委員会の委員に任命されたことに関しては、立場にあった地位が与えられたものだとし、「外交や安全保障を統括している」との分析を示 ...

米タブロイド誌グローブは最近、北朝鮮の金正恩総書記(国務委員長)が「5月6日から6月5日の間に秘密クーデターを起こした金与正により殺害された」と報道した。グローブは「6月以降金委員長は公式席上に姿を見せていないが、先月9日の北朝鮮政権樹立記念日行事の際に突然登場した。この時は影武者だった」とも報じた。 ハッキリ言って、単に金正恩氏の動静情報に推測を重ねただけのデタラメである。しかし、金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が遂に、クーデター説の主犯として描か ...

中国から列車に乗り、国境にかけられた橋を渡って北朝鮮に入国すると、すぐに新義州(シニジュ)駅に停車する。多くの人はそこで、北朝鮮では使えないはずの自分の海外キャリアの携帯電話が、電波をキャッチしていることに気づくだろう。 中国側の岸から新義州駅までは1キロちょっとだ。通話やモバイル通信ができるほど電波は強くないが、仮に使用しすれ違法行為となる。2017年に改定された刑法には、違法な国際通信を禁じる項目があるからだ。 だが、北朝鮮の国境沿いの地域には、あの手この手で監視の目を避 ...

北朝鮮で今年もまた、コメ争奪戦が始まった。 国際社会の制裁、相次ぐ自然災害とそれに対応する防災インフラの欠如、そしてコロナ鎖国の三重苦で苦しめられている北朝鮮だが、その影響は農業を直撃、今年の作況は例年にもまして悪いと伝えられている。 (参考記事:「牛が足りない」北朝鮮のトウモロコシが壊滅的不作) 黄海南道(ファンヘナムド)と平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、協同農場の収穫物に食糧を依存している朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は、各軍団の後方部に軍糧米を徴発 ...