北朝鮮で、17日の公式行事に参加した金正恩総書記の「老け顔」が話題になっている中、韓国デイリーNKは同国のある地方の幹部に電話取材を行い、話を聞いた。行事の映像を見たという幹部は、「健康が本当に悪いようだ」などと感想を述べた。 (韓国と北朝鮮は、直接通話することはできないが、北朝鮮の一部地域で使える中国キャリアの携帯電話を経由するなどして、こうした取材を行っている。) 以下に、幹部とのインタビューを一部抜粋する。 編集部 元帥様(金正恩氏)は行事の間、ずっと厳粛な表情だった。 ...

北朝鮮では17日、金正日総書記が死去してから10年となったのに際し、金日成主席と金正日氏の遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿広場で「逝去10周忌中央追悼大会」が行われた。 ここに参加した、まだ30代の金正恩総書記の顔が、50代かと見まがうほどに老け込んで見えたことで、韓国メディアを中心に「健康不安」説が持ち上がっている。それを受け、日本の一部では「影武者」説が再燃しそうな雰囲気だ。 だが、現地の当日の気温は零下5~6度、体感温度は零下20度と伝えられている。本当 ...

韓国紙・東亜日報記者で、脱北者出身のチュ・ソンハ氏が自身のYouTubeチャンネルで、北朝鮮の金正恩総書記が、同国の高名な美容整形外科医2人を処刑させたとの脱北者証言を紹介している。 北朝鮮では、密かに流入する韓流ドラマなどの影響で、美容整形手術を行う人が増えていると言われていたが、金正恩氏はなぜ、医師らを銃殺させたのか。この出来事を巡っては平壌でも、ある種の「噂」が囁かれていたという。 チュ氏のYouTubeチャンネルに出演して証言を行ったのは、2019年11月に北朝鮮を脱 ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)で最も許されない行為の一つが、私的組織の結成だ。たとえ小さなものであっても、「宗派行為」(分派行為=反政府活動)とみなされ、対象者は極刑に処される。 クーデターの芽を徹底して摘んでおくためだ。 (参考記事:「軍幹部はボディブローで崩れ落ちた」北朝鮮“クーデター未遂”の真相) 先月8日、朝鮮人民軍の保衛局(秘密警察、以前の保衛司令部)は、私的な組織とみなされる行為を行った兵士4人を逮捕した。 デイリーNK内部情報筋によると、中国国境にほど近い、平安北道(ピ ...

北朝鮮の人権問題を追及している民間団体が北朝鮮国内で公開処刑が行われた場所などを示したマップを作成し、15日に報告書を発表した。 韓国・ソウルに本部を置く「転換期正義ワーキンググループ(Transitional Justice Working Group=TJWG)」は、北朝鮮の政権が行っている人権侵害を記録することで、そのような行為をやめるよう警告すると同時に、将来的な加害者の法的処罰の可能性を高める目的で、このプロジェクトを進めてきた。報告書の発表は、2017年7月と20 ...

北朝鮮の金正恩総書記が実質的に権力を継承してから、17日で10年となった。大陸間弾道ミサイル(ICBM)など核戦力の実戦配備を成し遂げたうえに、史上初の米朝首脳会談も実現させ、祖父・金日成主席と父・金正日総書記に劣らぬ強固な独裁体制を築いた。 しかし金正恩氏には、先代までの最高指導者と比べ明らかに欠ける部分がある。実利主義だ。 金日成氏は中国とソ連・東欧の社会主義圏から、金正日氏は中国と韓国から、大規模な経済支援を引き出した。金正日時代には、日本からさえ食糧支援を引き出してい ...

「朝鮮の宝」とまでいわれ、北東アジアで最大規模の埋蔵量を持つ、北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)茂山(ムサン)郡に位置する鉄鉱山「茂山鉱山」。その利益で街は潤い、人々は北朝鮮国内のレベルとしては豊かな暮らしを営んでいた。 しかし、それも今は昔の話だ。 国連安全保障理事会の制裁決議で鉄鉱石を含めた鉱物資源の輸出が禁止されたことで、致命的なダメージを受けてしまった。その後も、細々と密輸が続けられてきたものの、昨年1月からのコロナ鎖国で、密輸も困難になってしまった。 鉱山の稼働が ...

WeChatとは、中国で広く使われているメッセンジャーアプリだ。外国との通信が事実上、禁止されている北朝鮮の人々が中国や韓国と連絡を取る場合、かつては音声通話が使われていたが、コストと保安面でメリットがあるとしてWeChatを使う人が増えた。北朝鮮当局は、このWeChatユーザーを、問答無用でスパイ扱いしている。 両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、今月初めに国家保衛省(秘密警察)が両江道保衛局(秘密警察)に対して、中国の携帯電話の使用者を最後の一人まで根絶やし ...

北朝鮮各地の協同農場では、国と軍が入れ代わり立ち代わりやってきて、国の農業計画(ノルマ)に基づき、コメやトウモロコシなどの収穫物を搾取していく。 それに対して農民は、少しでも多くの収穫物を手元に残そうと、くすねたり隠したりして必死の抵抗を示す。 特に軍は、栄養失調の兵士を数多く抱えていることもあり、食糧確保に必死だ。収穫物の争奪戦は国・軍と農民との間の、やるかやられるか、まさに生存を賭けた戦いの様相を呈していると言える。 さて、その経過はどうなっているか。 (参考記事:北朝鮮 ...

今年1月から今月8日までの時点で、中国キャリアの携帯電話を使った容疑で北朝鮮・両江道(リャンガンド)の保衛局(秘密警察)に逮捕された人が数百人に達することがデイリーNKの調べで明らかになった。そのほとんどが20代から40代の女性だ。 デイリーNKの内部情報筋が挙げた一例は、道内の金正淑(キムジョンスク)郡在住の30代女性、キムさんのケースだ。中国にいる知人と通話をしていたところ、電波探知機で探知され、郡の保衛局に逮捕された。 キムさんは7日間に渡って取り調べを受けた後で、両江 ...

北朝鮮の駅周辺には、「待機宿泊」と呼ばれる民泊が数多く存在する。停電などで運転見合わせや遅延が多発する中、列車を待つ間に食事や休憩、宿泊するための施設で、売買春の温床ともなっている。 このような宿泊施設が多数できた背景には、国営の宿泊施設の数が非常に限られている上に、公務で出張する人でなければ泊めてもらえないという事情があるが、売春が行われている点では待機宿泊と変わりない。 (参考記事:銭湯や民泊で…北朝鮮で「性売買」の低年齢化が深刻) 朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の30代軍官(将 ...

18人――これは、北朝鮮の北東部、人口約230万人の咸鏡北道(ハムギョンブクト)の安全局(県警本部)の勾留場(留置場)で、今年の第4四半期に入ってから非公開処刑された人の数だ。 北朝鮮ではこれまで、公開処刑が頻繁に行われていた。残酷な光景を見せることで国民の恐怖を煽り、犯罪抑止に繋げようという意図から行われていたが、国際社会からの批判を気にしてか2015年ごろからあまり行われなくなっていた。それが2019年ごろから復活したが、最近になって再び、非公開で処刑が行われるようになり ...

北朝鮮の市場の物価は、他の国と同じように、需要と供給に基づいて形成される。農産品を例に挙げると、前年の収穫が底をつく春から夏にかけて上昇し、秋の収穫と共に下落する。 しかし、しばしば不自然な価格の上下が見られる。下落は、価格を抑えようと海外から輸入した物品が市場に放出された影響と思われる。一方、不自然な上昇はどのようにしてもたらされるのだろうか。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋が、その理由を説明した。 平安南道(ピョンアンナムド)の殷山(ウンサン)の情報筋に ...

北朝鮮当局は最近、今まで以上に思想教育に注力するようになっている。その主な対象は若者だ。 国から食糧や生活必需品の配給を受けた経験があまりなく、商売などで自分の力で生きてきた若者は、国や指導者に対する忠誠心が薄く、国や社会より個人を優先する傾向が強い。 当局は、そんな思想動向が国の根幹を揺るがしかねないと考え、思想教育を強化している。だが、表面的にはおとなしく従うふりをして、裏ではやりたい放題の若者に思想教育を強化したところで、砂漠に水を撒くも同然だろう。 (参考記事:北朝鮮 ...

北朝鮮の地方政府の主な収入源と言えば、市場で商売する商人から徴収する市場管理費(ショバ代)だ。ところが、コロナ鎖国による経済不況で、市場の景気はどん底。モノが売れず、ショバ代すら払えない人たちは、市場の周辺の路上などで露店を開いて商売をしている。取締官が来れば、イナゴのように飛んで逃げてしまうことから、そんな人々のことを、「イナゴ商人」と呼ぶ。 取り締まりは強化される一方だが、税収の減少、資本主義的行為の蔓延、コロナ対策、美観を損ねるなど様々な理由が挙げられている。 (参考記 ...

2000年代の初め、小泉純一郎首相(当時)の第1次訪朝に向けた北朝鮮側の交渉役となり、日本では「ミスターX」として知られた柳敬(リュ・ギョン)国家安全保衛部副部長。金正日総書記から絶大な信頼を寄せられた最側近だったが、2010年2月、突如として処刑された。 その内幕については一説に、金正日氏の義弟である張成沢(チャン・ソンテク)元朝鮮労働党行政部長が柳氏のパワーを警戒し、スパイの濡れ衣を着せて処刑に追い込んだと言われていた。 柳氏本人のみならず、家族全員が銃殺されたとも言われ ...