過去に行われた北朝鮮の軍事パレードで登場した、放射性物質を示すマークが付いたリュックサックを持って行進する兵士たち。米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、これは朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の各軍団の下に立ち上げられた「核リュック部隊」だ。 各軍団の偵察小隊と軽歩兵旅団の優秀な人員からなるとされており、金正恩時代になって登場した精鋭部隊と言える。 そんなエリート部隊の一つ、平安北道(ピョンアンブクト)の東林(トンリム)に駐屯する第8軍 ...

日本政府は5日、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射され、日本海上に落下したと発表した。また韓国軍の合同参謀本部も同日、北朝鮮が朝鮮半島東の海上に向けて未詳の飛翔体を発射したと発表した。 北朝鮮の金正恩総書記は昨年12月27日から5日間にわたり開かれた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会で、国防について「日ごとに不安定になっている朝鮮半島の軍事的環境と国際情勢の流れは、国家防衛力の強化を片時も緩めることなくいっそう力強く推し進めることを求めている」と指摘した。 また ...

昨年11月、北朝鮮・咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)市人民委員会(市役所)の庁舎前に、多くの中高年男性が集まり、抗議の声をあげた。彼らは、30年以上指揮官を勤めた除隊軍官(退役将校)たち。いったい彼らに何が起きたのか。 国際社会の制裁とコロナ鎖国により北朝鮮の経済難が深刻さを増す中、かつては厚遇されていた除隊軍官への待遇が徐々に悪くなっている。つい先日も、露天商をして暮らしていた除隊軍官の一家が、経済的に困窮し、餓死寸前になって辛うじて発見され、一命を取り留める事 ...

北朝鮮が今年になってから発行した「トンピョ」。かつて発行されていた「ウェファワ・パックン・トンピョ」(外貨と替えた金券)と同じような機能を持っているようだが、かつてとは異なり、北朝鮮の人々からは評判が悪い。 受け取りを拒否したり、額面の半分で値踏みして受け取ろうとしたりする事例が相次いでいる。信用があまりにもないことが理由だが、当局は取り締まりと厳罰で対応していると、デイリーNKの複数の内部情報筋が伝えている。 (参考記事:信頼されない北朝鮮の「トンピョ」…額面の半分で取り引 ...

2018年に発生した落書き事件では、犯人の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の作戦局上級参謀の大佐ら2人が、自動小銃で公開処刑され、家族は管理所(政治犯収容所)送りとなっている。 (参考記事:北朝鮮軍の大佐「落書きしまくり」で公開処刑か) 昨年12月下旬、時まさに朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会を控えていた北朝鮮の首都・平壌で、金正恩総書記を批判する落書きが発見され、大騒ぎとなった。デイリーNK内部情報筋によると、落書きが発見されたのは12月22日のこと。午前4時20分ごろ、平川(ピ ...

あなたが使っている「つけまつげ」。「メイド・イン・チャイナ」と書かれていても、もしかすると北朝鮮の刑務所で、囚人の手により作られたものかもしれない。 北朝鮮は、国際社会の制裁が強化される前からつけまつげやかつらの加工、輸出を行ってきた。その中の一部は、教化所(刑務所)で製造されているのだが、最近になって中国の業者からの発注が増え、ノルマが大幅に増やされたと、デイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:北朝鮮製「つけまつげ」密輸のシビアな現場) ノルマが増やされたのは12月の ...

1980年代以前の北朝鮮は、非常に犯罪の少ない国だったと言われている。配給システムが機能し、住宅から食料品に至るまでほとんどのものを国が無料、または安価に配給し、「貧しくとも生きていける皆が平等」な国だったからだ。 それが1990年代、未曾有の食糧危機「苦難の行軍」を境に配給システムが崩壊し、餓死者が続出した。生きるために市場で商売する者もいれば、犯罪に走る者もいた。極度に悪化した治安対策として金正日総書記は、公開処刑を繰り返し、恐怖で国民を統制しようとした。 そして、経済制 ...

クリスマスを前後して日本、韓国には大寒波が襲来したが、その影響は北朝鮮にも及んでいる。24日、北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)に強風が吹き、住宅に被害が出ていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 鐘城(チョンソン)、富寧(プリョン)、羅先(ラソン)などでは電柱が倒れ、鉄道沿いの高圧線が絡んでショートを起こし、列車の運行が3日間停止となった。 また、マンションのベランダにあったものとどこかに吹き飛ばされ、金正恩総書記の肝いりで昨年建てたばかりの平屋建て住宅のト ...

北朝鮮で27日から、朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会が開かれている。朝鮮中央通信によれば、総会では党および国家政策の実行状況が総括されるという。 その具体的な内容は3~4日間の日程が終わるまで明かされないようだが、とりあえず注目されるのは、金正恩総書記の動静だ。同通信は、金正恩氏が党中央委員会政治局の委任によって総会を司会していると明らかにしており、特に異変は見受けられない。 こんなことを指摘するのは、今月17日の行事に参加した際の金正恩氏の映像について、まだ30代とは思 ...

北朝鮮・平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)市郊外にある白土里(ペクトリ)にある3号教化所(刑務所)から今月18日、煙が上がった。市内中心部から南へ数キロ、新市街地に隣接した地域だけあって、時間帯がもし昼間だったら、その光景を目の当たりにした市民の間に動揺が広がったことだろう。 この煙の正体は、70体もの遺体を火葬した際のものだった。 いかに環境が劣悪で、虐待が横行する北朝鮮の刑務所といえども、この数はさすがに異常と言える。 (参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で ...

コロナ鎖国による経済難に追い込まれている北朝鮮で、犯罪が多発している。 平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えたのは、駅前の「待機宿泊」を舞台にした睡眠薬強盗だ。待機宿泊とは、運行状況の不安定な列車の利用客が、列車が到着するまでに滞在する駅前旅館的な存在で、一般人が気軽に利用できる数少ない宿泊施設だ。 待機宿泊を巡っては、宿泊者の将校が、売春女性から重要書類を盗まれた事件に関する情報が伝えられたばかりだ。ちなみに待機宿泊を営むことそのものが違法行為に当たり ...

「このXX野郎どもめ、何が人民の下僕だ!」 北朝鮮では、庶民がイナゴ商人(露天商)の取り締まりなどに当たる安全員(警察官)に、こんな暴言を浴びせかけて抗議することがしばしばある。 しかし、今回そんな言葉を食らったのは、直接ではないとは言え、地方のトップだというから驚きだ。いったい何が起きたのか。咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:「どうやって食えというのか」北朝鮮で集団抗議活動、当局緊迫) 話の主人公は70代女性のキムさん。北朝鮮第2の ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の女性兵士が、遺書を残して自殺を図り重態に陥る事件が発生した。軍内で蔓延する、性暴力の被害を受け続けた末の選択だった。 デイリーNK内部情報筋が伝えた事件のいきさつは、次のようなものだ。 事件の被害者は、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)に駐屯する朝鮮人民軍第7軍団の指揮部電信電話所交換分隊で、幹部席の交換手として勤務していた女性兵士のAさん。 黄海南道(ファンヘナムド)出身で、17歳のときに軍に入隊、第7軍団に配属されたが、その直後から性暴力 ...

「マルパンドン」とは「言葉の反動分子」という意味合いの北朝鮮の用語だが、反政府的な言動を指し、厳しく取り締まられている。 だからといって北朝鮮の人々は、何も言わずにおとなしく従っているわけではない。問題のなさそうな相手を選んだ上で、お上に対する文句をぶちまける。だが、運が悪ければ命取りになりかねない。 デイリーNKの内部情報筋が伝えたのは、北朝鮮最高の理系大学、金策(キムチェク)工業大学の秀才組が口を滑らせたことで招いた悲惨な末路についてだ。 事件の発端は先月初め。学内で親友 ...

昨年の「反動的思想・文化排撃法」の制定以降、北朝鮮では韓流ドラマ、映画などを見たというだけで重罪に処される事例が後を絶たない。先日は、韓国映画をたった5分見ただけの14歳の少年に、14年の労働教化刑(懲役刑)という極めて重い判決が下された。 コンテンツの流通に関わり、処刑されるケースもある。公開処刑の恐ろしさを、北朝鮮の人々は骨身にしみて知っている。 (参考記事:北朝鮮、14歳少年を「たった5分」で容赦なき見せしめ) だが、恣意的な法運用がなされている北朝鮮では、同じ罪を犯し ...

今月17日に行われた式典で見せた「老け顔」から、「健康悪化」説が再浮上している金正恩氏。本当に健康状態が悪いなら、体感マイナス20度という極寒の中での式典参加は、最高指導者として、なかなかタフなスピリットを持っていると言える。 健康状態に関する観測情報の真偽がどうであれ、金正恩氏は今年、ある事業でなかなか精力旺盛な姿も見せていた。今年春に着工した平壌の高級集合住宅「普通江(ポトンガン)川岸段々式住宅区」の建設プロジェクトがそれだ。 金正恩氏は3月、同プロジェクトの予定地を視察 ...