北朝鮮の金正恩総書記は昨年6月29日の朝鮮労働党中央委員会第8期第2回政治局拡大会議で、新型コロナウイルスの流入防止のための防疫対策において、幹部の怠慢により「国家と人民の安全に大きな危機を醸成する重大事件を生じさせた」と明らかにした。 「重大事件」の中身は言及されなかったが、国民への「軍糧米」配給が計画通りに行われなかった件と関連していると見られている。 金正恩氏は上記の拡大会議に先立つ党中央委員会第8期第3回総会で、自身が署名した特別命令書を発した。北朝鮮メディアは特別命 ...

北朝鮮の首都・平壌では先月末朝鮮労働党第2回初級党書記大会が開催された。党組織の末端から2番目の初級党のトップを集めて行われた今回の大会では、その機能と役割が強調され、金正恩総書記は演説で、「人民に仕え、真心を尽くして思いやる忠僕になる」「人民の党、忠僕党の真の政治活動家になれ」と求めた。 だが、その実態は人民に仕えるどころか、馬鹿にされるような有様だ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 (参考記事:「国家の富強に献身を」朝鮮労働党初級党書記大会が閉幕) 平 ...

北朝鮮で高利貸しは違法だが、実際にはヤミ金が横行している。利子は非常に高く、返済に行き詰まった債務者に対するひどい取り立てを行うなど、社会問題となっている。 取り締まりは行われているものの、ヤミ金がなければ、経済の様々な場面で必要となる資金調達そのものが不可能になってしまうため、根絶は極めて困難だ。北朝鮮北部、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、ひどい取り立ての一例を紹介した。 (参考記事:コロナ鎖国下の北朝鮮で増殖する「ヤミ金」トラブル) 事が起きたのは、ジャ ...

北朝鮮の工作機関・敵軍瓦解工作局(敵工局)所属の将校が亡命に失敗し、北朝鮮側によりロシア・ウラジオストクで監禁されているという。そして、金正恩総書記は直接、この将校を無条件で連れ戻すよう厳命していたことが、韓国デイリーNKの取材でわかった。 この将校は、敵工局傘下の563部隊126部に所属するチェ・グムチョル少佐。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によれば、昨年7月にウラジオストクで北朝鮮の支配下から離脱し、亡命を準備していたが、同9月20日にロシアの警察により連行さ ...

北朝鮮では例年、初夏に「春窮期」が訪れる。前年に収穫した作物が底をつき、食べるものがなくなる時期を指すが、中でも完全に蓄えが底をついた家庭のことを「絶糧世帯」と呼ぶ。 コロナ鎖国が始まった一昨年から、その状況に拍車がかかっているが、今年も相変わらずのようだ。 (参考記事:「多ければ半数が餓死予備軍」北朝鮮、新型コロナ鎖国で危機) 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、朝鮮労働党咸鏡北道委員会 (道党)は、先月16日の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)80周 ...

北朝鮮の首都・平壌郊外にある平安南道(ピョンアンナムド)平城(ピョンソン)で先月30日、女性のダンス講師と10代の生徒らが逮捕された事件については、本欄ですでに紹介した。ダンス教室で、欧米や韓流アイドルの音楽や映像を流していたことが発覚し、反動思想文化排撃法違反で摘発されたのだ。 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、この事件では金正恩体制のエリートらが芋づる式に摘発された。そして、その端緒となったのは、ある女子高生の自供だった。 平城の情報筋がRFAに語ったと ...

北朝鮮の首都・平壌郊外にある平安南道(ピョンアンナムド)平城(ピョンソン)で先月30日、女性のダンス講師と10代の生徒らが逮捕された事件については、本欄ですでに紹介した。ダンス教室で、欧米や韓流アイドルの音楽や映像を流していたことが発覚し、反動思想文化排撃法違反で摘発されたのだ。 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、この事件では金正恩体制のエリートらが芋づる式に摘発された。そして、その端緒となったのは、ある女子高生の自供だった。 平城の情報筋がRFAに語ったと ...

北朝鮮の首都・平壌の万寿台(マンスデ)にそびえ立つ金日成主席、金正日総書記の銅像。訪れる人は必ず花輪を捧げ、中には花輪を捧げる人もいる。花が溢れているのは銅像に限らず、両氏に関連した施設ならどこでも見られる風景だ。 そんな花に放火した男性が逮捕される事件が起きた。それも、16日の光明星節(金正日氏の生誕記念日)の当日だ。詳細をデイリーNK内部情報筋が伝えた。 事件が起きたのは、黄海南道(ファンヘナムド)新院(シノン)郡の革命史跡地だ。そこに捧げられていた花輪に火が付けられる事 ...

正確な数はわからないものの、北朝鮮は中国に数多くの貿易機関の関係者を駐在させている。彼らは、北朝鮮製品を売り込み、中国製品を買い付ける、北朝鮮経済にとって欠かせない存在だ。北朝鮮当局が、そんな彼らを集めて総和(総括)を行った。 中国在住のデイリーNK情報筋は、今月初めに遼寧省丹東にある北朝鮮の貿易代表部の幹部を集めて総和を行ったと伝えた。同様の総和は瀋陽でも行われた。 総和の場で当局は「密貿易や不法行為に加担したのならば、一瞬のうちにしてすべてを失う」として、当局の許可を得ず ...

先月16日に2年ぶりに運行を再開した、北朝鮮と中国を結ぶ貨物列車。様々な物資が運び込まれていると思われるが、当局はそれらを市場統制の「エサ」に使おうとしているようだ。 (参考記事:中国・丹東に北朝鮮の貨物列車…コロナ封鎖から2年ぶり) 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、中央と内閣が、市場が安定して物価がよく管理されている地域に対して、中国からの物資を供給するとする内容の共同指示文を下したと伝えた。朝鮮労働党咸鏡北道委員会と咸鏡北道人民委員会(道庁)は14 ...

北朝鮮で強化されている、中国キャリアの携帯電話の所持、使用に対する取り締まり。運悪く取り締まりに引っかかってしまった女性が、取調べ中の残虐行為により死亡したと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 事件の概要は次のようなものだ。 咸鏡北道保衛局(秘密警察)は先月10日、中国キャリアの携帯電話を使っていたようで、30代女性のキムさんを逮捕し、スパイ容疑者を勾留する拘禁所にぶち込んだ。公開処刑や政治犯収容所の運営を担う保衛当局は、金正恩体制の恐怖政治を支 ...

北朝鮮の金正恩総書記が訪問した地域で、訪問当日に銃器乱射事件が発生し、地元当局が緊張状態に置かれたと、デイリーNKの現地情報筋が伝えた。 金正恩氏は今月18日、咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸州(ハムジュ)郡の蓮浦(リョンポ)地区で行われた温室農場の着工式に参加した。 これに先立ち16日、朝鮮労働党の道委員会は軍事委員会拡大会議を開き、特別警備のため、17日午前0時から19日午前0時までの48時間、道内全域を封鎖すると決定。道路や鉄道の交通が統制されたのはもちろん、携帯電話や有 ...

昨年9月の最高人民会議で採択された、北朝鮮の「青年教養保障法」。採択の時点では条文は明らかにされず、若者に対する思想教育を強化する内容と見られていたが、中身が明らかになりつつある。 違反した場合、10年もの懲役刑になりかねない厳しい処罰事項のある法律だ。 (参考記事:北朝鮮、若者の思想を統制「青年教育保障法」導入へ) デイリーNKの内部情報筋は、この法律について「外部と資本主義文化に慣れ親しんでいる青年を対象として、思想、精神状態を改造する内容」と規定し、「青年たちの間で表れ ...

北朝鮮は16日の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)を迎え、全国の協同農場に衣類、食品などを贈り物を贈った。ところが、逆に農民の労働意欲が低下する結果をもたらしてしまった。詳細をラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。 平壌の情報筋は、15日に平壌市内の万景台(マンギョンデ)協同農場の文化会館で、農民や幹部が参加して、光明星節80周年慶祝中央報告大会が開かれたと伝えた。この農場は、金日成主席の生家から遠くないところにあり、規模が大きく、一般的な農場の人員が200〜500 ...

北朝鮮軍当局が1月、軍幹部らを対象に「不純映像物」の一斉取り締まりを行ったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)伝えている。取り締まりの結果、多数の幹部が韓流や日本など外国の映画やドラマ、歌などが収められた記録媒体を隠し持っていたことが明らかになり、軍当局に緊急が走っているという。 平壌市のある軍関連情報筋はRFAに対し、「朝鮮人民軍(北朝鮮軍)総政治局では今年1月初めから1ヶ月間、国防省の直轄部隊と総参謀部の直属部隊を対象に、不純映像媒体の利用と所持に関する集中検閲 ...

北朝鮮の金正恩総書記は18日、咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸州(ハムジュ)郡蓮浦(リョンポ)地区に建設される「連浦温室農場」の着工式に参加したが、これを報じた朝鮮中央テレビのニュースにはちょっと異様な光景が映し出された。 マスクを着用し、間隔を空けて整然と並んでいた軍の兵士らが、突然わらわらと駆け出し、金正恩氏のもとに殺到したのだ。 独裁国家である北朝鮮において、最高指導者の身の安全は国家の最重要事項だ。それを守るためには、国民の生命を含めどんなものでも犠牲にされる。当局は常 ...