発熱症状を隠したら処刑…北朝鮮「新型コロナ」対策の過激度

しかし結局、男性は近所の住民の通報により道保衛部(秘密警察)に逮捕され、「祖国反逆罪」により銃殺された。

北朝鮮の刑法第63条に定められた祖国反逆罪は、国家を裏切って外国に逃亡したり、内通したリ、秘密を渡したりした場合に適用され、5年以上の労働教化刑(懲役)を受けることになっている。罪状が重い場合には無期刑や死刑、財産没収も可能とする付則もある。

このような規定に比べても、密出国や防疫規則違反で死刑にするのは、かなりやり過ぎに思える。

しかし北朝鮮当局にとって、体制の安寧は他のすべてに優先する課題だ。そのためには、法の拡大解釈など屁でもないだろう。ただ、このような強硬すぎる姿勢には、この男性と同じような経緯で体調不良に至った人々が、当局に名乗り出るのを困難にする逆効果を生むリスクもある。

(参考記事:「焼くには数が多すぎる」北朝鮮軍、新型コロナで180人死亡の衝撃