一度に500人犠牲も…殺人的「速度戦」を金正恩氏が止めた理由

北朝鮮の建設事業では、工期の前倒しが政府上層部などから指示されることはあっても、延長が公式に認められるのはごく珍しいことだ。しかも、それが最高指導者の口から発表されるのは異例中の異例である。

同国ではこれまで、無茶な工期のゴリ押しにより、貴重な人命が大量に失われてきた。

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最近でも、金正恩氏が注力しているもうひとつのプロジェクトである三池淵(サムジヨン)郡の再開発については、完成目標が1年ほども前倒しされ、厳冬期にまで工事の続行が命じられた。

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三池淵郡は、厳冬期には最低気温がマイナス30度以下にもなり、本来なら工事に適さない。しかし、工事のやり直しに工期の前倒しが重なり、冬場にも工事をせざるを得ない状況となったのだ。