「銃があれば撃ち殺したい」金正恩の“無慈悲政策”に女性商人が怒り

当局の取り締まりが、北朝鮮で最も苦しい状況にある人々をさらに苦しめている。

北朝鮮では、男性は法律で国営企業や行政機関への「出勤」が義務付けられているため、女性だけが市場で商うことができる。また商売を行うには、国の定めた市場の売台(ワゴン)を借りて、チャンセ(ショバ代、市場管理費)を払う必要がある。

その額は地域や売台が置かれる場所、扱う品目ごとに異なるが、複数のデイリーNKの内部情報筋の話によると、昨年9月の時点で、平壌市の大城(テソン)区域にある龍興(リョンフン)市場と慈江道(チャガンド)の江界(カンゲ)市場の場合、1日のチャンセは8000北朝鮮ウォン(約128円)。

さらに市場の入口付近や人通りの多いところの場合、その1.5倍を支払わされる。いずれの額も前年の2021年と比べて2倍近く上がっている。さらに、商品を市場に置いて帰る場合には、1カ月で5万北朝鮮ウォン(約800円)以上の保管料を取られる。

現実には、そんな高額のチャンセを払うはおろか、1キロ5000北朝鮮ウォン(約80円)台のコメを買うことすらできないほど儲けが少ない人が多い。そんな人たちは、市場周辺や住宅額の路上で品物を広げて露店を開く。これは取り締まりの対象となっていて、そのときに飛んで逃げる姿から「イナゴ商人」と呼ばれている。

取り締まりは、貧しい人々から生きる術を奪うことに他ならないが、金正恩政権は最近、取り締まりをさらに強化している。それに対するイナゴ商人の不満は頂点に達し、「音の出ない銃があれば取り締まりする連中を全員撃ち殺したい」という人まで現れる状況だ。
(参考記事:激しい拷問に耐え続けた北朝鮮「レザーの女王」の壮絶な姿

現場の様子を、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えている。

会寧(フェリョン)市内では、今月上旬までは露店に対する取り締まりがゆるく、どうにか粥で飢えをしのげる水準である、1日に1000北朝鮮ウォン(約16円)ほどの儲けがあった。ところが、9日ごろから急に取り締まりが強化されたことで、本人も家族も飢えに苦しむことになった。生活の糧を奪われた人たちは、「絶糧世帯」かそれに近い状態になってしまっているようだ。
(参考記事:仕事を許されず餓死を待つだけ…北朝鮮の「くるまクン」たち

「最近はコメも高く、だからといってトウモロコシ飯にもなかなかありつけない。それなのに商売をさせないのは、水に落ちた人を棒で叩くようなものだ」(イナゴ商人)

ちなみにこの商人、コロナ前には1日に餅を5キロ作って飛ぶように売れていたそうだが、今では1キロも売れない上に、取り締まりが厳しく、商売もろくにできない。

「取り締まりのせいでそれすら売れなくなり、もはや餓死するしかない」(同前)
(参考記事:暴れる北朝鮮国民、警察官を「逆吊し上げ」でボコボコに

赤ん坊を背負い、売り物の食べ物を抱えたまま、安全員に追われて逃げ惑う女性たちの姿をよく目にする情報筋は、「胸が張り裂けそうだ」と悲痛な思いを語った。そして、「食糧問題への対策を出さずに、取り締まりばかり強化する金正恩政権のやり方に、イナゴ商人のみならず、それを見守る人々も皆激怒している」と怒りをあらわにした。

当局は、「美観を乱す」「非社会主義現象(社会主義にそぐわない行為)だ」として、イナゴ商人を取り締まるだけでなく、市場そのものへの締め付けを強化している。なし崩し的な市場経済化の抑制、計画経済への復帰を目論んでいると見られるが、収入のほとんどを市場での儲けに依存してきた北朝鮮国民は貧困と飢えに追い込まれている。

今のところ、大規模な抗議活動などは確認されていないが「生きるため商売がしたい」「普通にご飯が食べたい」という民意を無視すれば、今度どのような事態が起こるか予測できない。北朝鮮の人々は、座して死を待つほどおとなしい人々ではないのだ。
(参考記事:「女性イナゴ商人」踏みにじる金正恩体制に北朝鮮国民が反発


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