「我々を欺いている」金正恩の“偶像化”を不審がる北朝鮮国民

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は28日、「苦しく辛いときほど、思想教養事業を強化しなければならない」とのタイトルの記事を掲載した。「思想論の旗は革命闘争の全過程に常に掲げるべきだ」「特に今のような苦しく辛いときほど、さらに高く掲げるべきだ」などとしており、思想教育の重要性を強調し、それにより結束を図ろうという意図が読み取れる。

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その一環だろうか、当局は各地で最高指導者の偶像化(神格化)のための施設のさらなる建設を指示したが、国民からは不満の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)茂山(ムサン)の情報筋は、中央が今までは大都市中心に設置されていたモザイク壁画を全国の郡や、市の下の行政単位である区域にも設置範囲を拡大し、10月末までに完成せよとの指示を下したと伝えた。
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このモザイク壁画とは、タイルを積み上げセメントで塗り固めた壁に金日成主席、金正日総書記、金正恩総書記の姿や革命の歴史、理想的な社会主義社会などが描かれたもので、北朝鮮の各地に存在する。非常に神聖なものとされ、粗末な扱いは許されず、なにか問題が起これば責任者のクビが飛ぶ、非常に扱いが面倒なものだ。
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北朝鮮国民は、コロナ鎖国による生活苦にあえいでいるが、そんな中で地元当局は、モザイク壁画の作成に必要な費用だとして、1世帯あたり2万北朝鮮ウォン(約460円)の「忠誠の資金」を出すように指示した。コメ5キロ分にあたるかなりの額だ。そればかりか、建設に必要なセメントや労働者の食べる弁当を建設現場に届けよとの指示も付け加えた。

モザイク壁画のデザインは極秘事項とされているが、地元住民はそんなことに関心を持とうとしない。食うや食わずの生活を送っている人々が、日々の食い扶持の捻出に必死になっているところに、今回の負担は非常に大きく、それに対する不満の方が大きい。

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「今回の壁画設置で、国に対する人々の不満は最高潮に達した」(情報筋)

慈江道(チャガンド)中江(チュンガン)の幹部情報筋は、モザイク壁画を設置せよとの郡党(朝鮮労働党中江郡委員会)の指示が下され、郡の境界線に建てられると明らかにした。

道内には慈城(チャソン)と古豊(コプン)の林産事業所、江界(カンゲ)と陽渓(ヤンゲ)の坑木生産事業所など複数箇所にモザイク壁画が設置されているが、この幹部は「それなのになぜまた区域の境界にまで追加設置せよと指示するのか全くわからない」と不満を吐露した。

また、現在の状況を1990年代の大飢饉「苦難の行軍」を連想させるほどの非常時局としたこの幹部は「こんな危機の中で国が民生を顧みるどころか、むしろ偶像化物設置費用を負担させ、ほとんどの住民は当惑を隠せない」と地元の空気を伝えた。

壁画制作費用はしっかり徴収されるのに、基本的な食べ物や医薬品もなく悲鳴を上げている地元住民からは、このような激しい反発の声が上がっているという。

「そこ(壁画)からコメが出るのか。われわれを欺く反人民的統治手段に過ぎない」(地元住民)
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