文在寅のミサイルは「自慢用」の「出来損ない」…北朝鮮の分析の妥当性

北朝鮮の国防科学院の張昌河(チャン・チャンハ)院長は20日、韓国が試射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)について、「自慢用」にしかならない「出来損ないの兵器」であるとの分析を発表した。

韓国は15日、文在寅大統領立会いのもと、SLBMの発射実験に成功したと発表した。韓国は「世界で7番目のSLBM保有国」としているが、同国に先立ち、北朝鮮も発射実験に成功している。

北朝鮮の主張のポイントは、韓国が発射したのは比較的小型の短距離戦術ミサイルと同等のものであり、より大型の弾道ミサイルを水中から発射するための技術は実証されておらず、そもそも核弾頭を搭載しないSLBMにどんな意味があるのか――ということだ。

ただ、核弾頭抜きのSLBMに意味はないとする北朝鮮の指摘は、気になる部分だ。

韓国政府は現在、原子力潜水艦の建造計画も推進している。米国が協力していないこともあり、簡単にはいかないだろうが、仮に実現すれば、北朝鮮から核攻撃を受けた場合の独自の報復手段の確保という面では一定の意味を持つかもしれない。

だが、数隻の原潜が生き残り、そこに核抜きのSLBMが搭載されていても、北朝鮮に壊滅的な打撃を与える報復攻撃はできない。ということは、核抜きSLBM搭載の原潜は、北朝鮮に核攻撃を思いとどまらせる抑止力としては作用しないということだ。

そもそも、北朝鮮の核攻撃を抑止する最も強力な要素は、米国との同盟関係であり、米国の「核の傘」だ。韓国が独自の報復手段を持ちたいと考えているならば、近い将来、米国との同盟関係が危機に陥る可能性を考えているということだろうか。

もちろんこの世の中、何が起きるかわからないので、米韓同盟が破たんする可能性もゼロではない。しかし仮にそうなったら、核抜きSLBM搭載の原潜を数隻持っているくらいでは、米国が抜けた穴はとうてい埋まらない。
(参考記事:「機密事案、韓国にわたさない」米国が文在寅政権に冷たい視線

では、韓国の文在寅政権は、近い将来、自国が核武装する可能性を想定しているのだろうか。韓国社会の現状を見る限り、そのような考えが世論の強力な支持を受けて、実現に向けて動き出す可能性はゼロに近い。

率直に言うと、韓国のSLBMを嘲笑する北朝鮮の分析がどのくらい妥当なものであるかは、専門知識を持たない筆者には判断がつかない。ただ、文在寅政権が何を考えて核抜きSLBMを持とうとしているのか、まるでワケがわからないというのも、本当のところだ。