「遊びすぎ」で吊し上げの刑…北朝鮮女性20人の無念

大人数での会食の自粛が呼びかけられている中で明らかになった、厚生労働省職員23人の深夜に及んだ会食。出席者は処分を受け、田村功労大臣が謝罪する事態となった。

会食NGは、国内での新型コロナウイルス感染者の発生を認めていない北朝鮮でも同じだが、違反行為に対する処分は、日本とは比べ物にならないほど厳しい。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の検徳(コムドク)鉱山の近隣にある村では、ちょっとしたお祝いが行われたのだが、参加者が厳重に処罰される事態となったと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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村の女性20人は3月8日の国際婦女節の当日、現金を出し合って材料を買い、料理を作って食事会を開いた。ところが、これがすぐに安全部(警察署)の知るところとなった。

昨年12月から施行されている超特級非常防疫措置では、地上、海上、空中などすべての空間を封鎖し、あらゆる集まりと学校授業を禁止している。食事会は、集まりの禁止を定めた非常防疫法に違反する行為なのだ。

女性たちは安全部に連行され叱責された。また、この案件は郡党(朝鮮労働党端川市委員会)にも報告され、激しい批判を受けた。

「党は、伝染病ウイルスのせいで強力な防疫措置を取っており、人民の健康状態を毎日チェックするなどの対策を行なっている最中なのに、仕事のない女性たちが家に集まって遊び、党の方針に背いたと見なされた」(情報筋)

さらに女盟(朝鮮社会主義女性同盟)は、20人を思想闘争の舞台に立たせた。自分の行いの何がどう間違っていたかを自己批判をした上で、多くの人から批判を受け続けるという、いわば吊し上げの刑だ。女性らは鉱山での戦闘(増産キャンペーン)が行われ、労働者が家にも帰れず熱心に働いているというのに、そんな空気を乱す行為を行ったと激しく批判された。

コロナで国全体が苦境に追い込まれている中での食事会開催は、思想状態に問題があるためだ、彼女らには革命化が必要だとして、鉱山での1ヶ月間の無報酬労働の処分を下した。

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他の地域でも食事会、飲み会などが続々と摘発されている。中には見せしめとして銃殺にされたり、管理所(政治犯収容所)送りにされたりする者もいる。それを考えると、1ヶ月間の無報酬労働は「軽い」と言えるかもしれない。

女性たちはフラフラと遊び歩いているわけではなく、普段なら現金収入を得るために市場に出て熱心に働いているのだろう。しかし、国の命令で配属された機関、工場、企業所に務めること以外は、たとえいくら儲けようとも、仕事とみなされないのだ。

ほとんどの女性が幼い子供を抱えており、面倒を見なければならないが、「罪」を犯した立場で何も言えず、子どもを家に置いたまま炭鉱に働きに出ているが、気が気でないという。

近隣住民からは「女性たちは間違いを犯したが、子どもたちを一人で留守にさせるのは危険だ」「事故が起こるのではないか不安」との声が上がっている。

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