【写真】金正恩の処刑命令を実行する「巨漢兵」たちの正体

前出の情報筋によれば、北朝鮮ではこれまで、金日成主席と金正日総書記の遺体が安置された錦繍山(クムスサン)太陽宮殿に配置された護衛司令部傘下の2個大隊が、デモ鎮圧の任務を帯びていた。今回、デモ鎮圧の専門部隊が別途編成されたことについて情報筋は「目的を特化した部隊の設置により、騒乱やデモを速やかに鎮圧しようというもの」だとしながら、「新部隊は今後、革命の首脳部がある平壌での異常事態発生を抑止すべく、強大な権限を行使していくはず」と語っている。(参考記事:【写真】「凄腕デカ」から「美少女戦士」まで…金正恩氏ボディーガードの多彩な顔ぶれ

北朝鮮国内では、長期にわたる経済制裁や新型コロナウイルス対策の国境封鎖により、慢性的な経済難がいっそう深刻化していると見られる。当局は、いずれ国民の不満が危険水域に達し、不測の事態に発展し得ると考えているのかもしれない。

それにしても皮肉なのは、同部隊新設を指示する最高司令官命令が、金正恩氏が「以民為天」――民を以て天と為す――というスローガンを掲げた朝鮮労働党第8回大会の直後に出されたということだ。同党のスローガンを額面通りに受け取る人はほとんどいないにせよ、言葉と正反対の行動には、呆れるよりもむしろ戦慄を覚える。

2018年4月の南北首脳会談の際、金正恩氏の専用車を囲む警護員たち(NEWSIS)
2018年4月の南北首脳会談の際、金正恩氏の専用車を囲む警護員たち(NEWSIS)